健診結果の見方

検査の目的

毎年の結果から経年的な変化を観察することは、 結果を見るうえで最も大切なことです。 また再検査、精密検査が必要と判断された場合には、迷わす受診しましょう。 異常があったとしても早期発見であればあるほど、治療効果が期待でき医療費も安く済みます。

検査結果からわかること(主要検査)

計測

標準体重   
(身長m)x(身長m)x22で算出されます。22はBMIの標準値です。

BMI  
肥満度を表す指標で(体重㎏)÷(身長m)²で算出します。 日本人は22が最も病気になりにくいとされています。

体脂肪率  
体重に占める体脂肪の割合。一般に健康的とされる体脂肪率の目安は、男性は10~19%、女性は20~29%です。

血圧  
心臓から送り出された血が血管に与える力が血圧です。心臓が収縮したときに加わる力を「収縮期血圧」、拡張したときに加わる力を「拡張期血圧」とよびます。高血圧は長く続くと血管が傷ついたり心臓に負担がかかり、また動脈硬化を促進します。

眼底検査
目の奥にある網膜の血管を撮影し動脈硬化、眼底硬化、眼底出血などの有無を調べます。白内障・緑内障発見にも役立ちます。

眼圧検査
眼球内の圧を測定します。眼圧が高くなる代表的疾患である、緑内障の診断に役立ちます。 

聴力検査
低周波(1000Hz/人の話声)と高周波(4000Hz/電話のベル)の音がこえるかの検査です。

血液学

【貧血】
赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット

赤血球数は、骨髄の働きの低下や必要ホルモンの不足などで低下します。赤血球は細胞に酸素を運び、炭酸ガスを持ち去る「ガス交換」をする役割があり、その役割は赤血球中に含まれるヘモグロビンが主に行います。ヘモグロビンが不足すると、赤血球数が正常でも鉄欠乏性貧血を疑います。ヘマトクリットは、一定の血液量に対する赤血球の割合を示したものなので、 低値の場合は貧血を疑います。反して、慢性的に赤血球が多くて血液濃縮を起こすことを多血症といます。原因としては脱水、喫煙、ストレス、生活習慣などがありますが、血液が濃縮されているので粘度が高くなり、血栓による脳梗塞や心筋便塞などを起こしやすくなっていると考えられます。多血症が疑われる場合は、精密検査を受けてください。

MCV・MCH・MCHC 
赤血球数とヘモグロビンとヘマトクリットの数値から、MCV (赤血球1個当たり平均的な大きさ)、MCH (赤血球1個当たりの平均ヘモグロビン量)、MCHC (赤血球1個当たりの平均ヘモグロビンの濃度)を算出します。 鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、腎性貧血など貧血の種類を判別するのに使われます。

血清鉄・フェリチン・TIBC 
血液の液体成分である血清の中では、鉄はトランスフェリンというタンパク質にくっついて運搬されます。これが血清鉄として測定されます。血清中のトランスフェリンの全体の濃度は総鉄結合能(TIBC)で示され、TIBCと血清鉄の値から、血清中の鉄飽和度(%)が計算されます。さらに、貯蔵鉄を反映する採血検査の項目として、血清フェリチン値があります。血液中の鉄分が足りているかどうかを調べる検査です。鉄欠乏性貧血などの診断に役立ちます。 

脂質

総コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪 
脂質異常症には「LDL (悪玉)コレステロールが高い」 「HDL (善玉)コレステロールが低い 」「中性脂肪が高い」のタイプがあり、要因は、食生活、喫煙、アルコール摂取、ストレス、運動不足、女性ホルモンなどさまざまで、どれか一つというよりも、複数の要因が影響しています。放置すると血管の壁に血液中のコレステロールが付着して動脈硬化が進行し、心筋梗塞、脳梗塞、下肢の動脈閉塞などを起こしやすくなります。

糖代謝

空腹時血糖 
糖尿病の有無を調べます。空腹時で120mg/dl以上は糖尿病が疑われます。 

HbA1c 
赤血球に糖が結合したもので、過去1~3か月間の平均血糖を示します。6.0%以上は糖尿病の可能性を否定できません。

尿糖 
血糖値が高い状態が続くと尿に糖が混ざるようになるので糖尿病の手がかりや診断・経過観察に役立ちます。

肝・膵機能・痛風

AST (GOT)・ALT (GPT) 
ASTは肝細胞と心筋・骨格筋に、ALTは肝臓のみに多く含まれる酵素です。どちらも肝疾患で高値になりますが、ASTは他に心筋梗塞や検査前の運動などでも高値になります。

Y-GTP 
肝臓の解毒作用に関係する酵素で、特に過度の飲酒によるアルコール性肝障害や肥満で高値を示します。 

尿検査

蛋白 
陽性(+)の場合、腎臓の障害が疑われますが、発熱や疲労により一時的に陽性になることがあります。 

その他

内科診察 
聴診器を胸部に当て、呼吸音や心音などに異常がないか調べたり、必要に応じて腹部を触って触知できる腫瘤の有無を調べます。 

胸部レントゲン 
胸部にX腺を照射して、肺や心臓、大動脈に異常や影がないかを調べる検査です。 肺がん・肺結核・心臓肥大などがわかります。喫煙は肺がん及び心疾患の発生率を高めます。 喫煙指数が600を超えると注意です。 (喫煙指数 =1日の本数 x 喫煙年数)
肺がんが特に心配な方は、CT検査をお勧めいたします。 

心電図 
心臓が収縮・拡張を繰り返す時に発する微弱な電気刺激を、波形として記録する検査です。不整脈・狭心症・心臓肥大などの存在を推測します。不整脈や狭心症は健診時に異常が出ないこともあります。 時々脈が飛んだり、胸の圧迫感があるようでしたら、専門医での詳しい検査をお勧めいたします。