染色体検査とは
染色体検査とは
人間の体内には染色体が23種類あります。同じ大きさと形を持った常染色体が1番から22番まで各2本ずつと性染色体が2本で、計23対で46本存在します。染色体は顕微鏡で棒状の形態として観察されますが、この23対の染色体の中に2~3万個の遺伝子が組み込まれています。
染色体検査は採取した細胞を分裂させ、そこで出てくる染色体を固定して染色体の異常を検査します。染色体の異常には、がん細胞など一部の体細胞のみに一時的に現れる一時的染色体異常と、先天性の異常があります。
また、染色体異常には、数の増減が生じる数的異常、染色体の一部が欠けたり増えたりする構造的異常などがあります。それらが多数の遺伝子の異常が生じ、成長障害や発達障害など様々な病気につながります。
染色体検査の項目
先天異常の染色体検査
【主な検査項目】
染色体 G-Banding
染色体の数的異常、構造異常を検出し、不妊、不育、流産、多発奇形、精神遅滞など染色体異常に関わる疾患の診断に有用である。
X染色体
クラインフェルター症候群やターナー症候群はX染色体の数の異常を有し、X染色体検査は、X染色体の数の異常の検索に有用。
マイクロアレイ染色体検査 (染色体構造変異解析)
マイクロアレイ染色体検査で用いるアレイCGH法は、微細な染色体異常を網羅的に解析することができる検査方法であり、発育遅延や知的障害、先天異常などの疾患を発見します。
白血病や悪性リンパ腫の染色体検査
【主な検査項目】
異性間BMT(骨髄移植) (X,Y染色体)
骨髄移植後の生着確認はその成否の判定に重要であり、残存するレシピエントのクローンや微小残存細胞(MRD)を検出することは、生着確認だけでなく予後の推定や治療計画の決定にも重要となる。
IGH-FGFR3 t(4;14)転座
IGH-FGFR3 t(4;14)転座は、多発性骨髄腫(MM)の診断や治療予後の判断の補助的検査として有用である。
FIP1L1-PDGFRA del(4)長腕欠失(4q12欠失)
特発性好酸球増多症、慢性好酸球性白血病にイマチニブが有効とされている、FIP1L1-PDGFRAキメラ遺伝子をFISH法にて検出する。
固形腫瘍の染色体検査
【主な検査項目】
MYCN 2p24増幅
MYCN 2p24増幅は、神経芽細胞腫の診断や予後の判断の補助的検査として有用である。
EWSR1 22q12転座
EWSR1 22q12転座は、Ewing肉腫/末梢未熟神経外胚葉性腫瘍の診断確定のための補助検査として有用である。
染色体 G-Banding(Myeloid系)
【主な検査項目】
AML(急性骨髄性白血病)
造血器腫瘍細胞には様々な染色体異常が観察されるが、白血病細胞やリンパ腫細胞にはそのタイプによって特異的な染色体異常が観察され、治療成績に伴って増減する。従って染色体検査の結果は臨床診断や治療方針の決定、治療経過の観察、再発の確認など血液疾患の検査として重要な位置を占めている。
BMT(骨髄移植)
BMT検査では、骨髄移植前に見られたレシピエントの染色体異常が移植後に消失しているかを調べること、レシピエントとドナーの性別が異なる時には性染色体を調べることで、生着の確認を行うのに有用である。
染色体 G-Banding(Lymphoid系)
【主な検査項目】
ALL(急性リンパ性白血病)、CLL(慢性リンパ性白血病)、ML(悪性リンパ腫) 等
造血器腫瘍細胞には様々な染色体異常が観察されるが、白血病細胞やリンパ腫細胞にはそのタイプによって特異的な染色体異常が観察され、治療成績に伴って増減する。従って染色体検査の結果は臨床診断や治療方針の決定、治療経過の観察、再発の確認など血液疾患の検査として重要な位置を占めている。