空港検疫(COVID-19検査)
ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag/ルミパルスプレスト® SARS-CoV-2 Agを使用した空港検疫(COVID-19検査)
富士レビオは、空港検疫におけるCOVID-19の検査において高性能な感染症検査機器・試薬及び保守サービスを提供しています。
新型コロナウイルス(COVID-19)について
新型コロナウイルスとは、一本鎖RNAゲノムに絡みついているヌクレオカプシド(N)タンパク質、ウイルス表面に存在し感染に関与するスパイク(S)タンパク質、その他Eタンパク質、Mタンパク質など複数のタンパク質から構成されています。
高感度抗原定量検査 ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag/ルミパルスプレスト® SARS-CoV-2 Ag
「ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag」 「ルミパルスプレスト® SARS-CoV-2 Ag」は、新型コロナウイルスのNタンパク質を測定する試薬です。検体処理液により検体中のウイルス粒子を壊し、Nタンパク質を取り出して測定していきます。
新型コロナウイルスの検査には、ウイルスの遺伝子を検出する「PCR検査」とウイルス自体を検出する「抗原検査」があります。また抗原検査には、抗原定性検査と抗原定量検査の2種類あります。抗原定性検査は唾液が利用できず、抗原定量検査とPCR検査では鼻咽頭ぬぐい液・鼻腔ぬぐい液・唾液でも検査が可能です。
「ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag」 「ルミパルスプレスト® SARS-CoV-2 Ag」はPCR検査と同じ目的で使用でき、唾液にも対応した抗原検査試薬となっています。
従来の検査とルミパルス®の違い
PCR等の核酸検査
強み
高感度で高い特異性をもつ
簡易、迅速な検査法も存在
変異株の確認が可能な試薬もある
弱み
RNA抽出を含めると結果報告まで4~6時間かかる
RNA抽出の操作や用手法の試薬調整が必要
RNAの分解とコンタミネーションに注意が必要
バッチ処理
感染性が無い例でも陽性となることがある
ルミパルス®の抗原定量検査
強み
簡易な核酸検査法と同等の感度
結果報告まで~1時間。前処理が容易
ハイスループット&ランダムアクセス
弱み
感染性有無との直接比較データがない
不純物や粘性の影響を受ける
低ウイルス量でPCRと判定が乖離することがある
PCR法とルミパルス®の感度差と乖離について
「ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag」の感度差については、Ct値30台半ばまで検出可能です。
また、PCR法と比較した際、乖離例はウイルス量が少ない検体と考えられました。
変異株に対する反応性
変異株のアミノ酸変異はSタンパク質を中心に構成されています。
「ルミパルス® 」が測定対象としているNタンパク質の変異は、Sタンパク質より少なく、使用している複数のモノクローナル抗体はNタンパク質でも変異の少ない箇所を認識しています。また、固相抗体・標識抗体ともにエピトープの異なる複数の抗体を用いており、変異による影響は受けにくいです。
そのため、新型コロナウイルスのNタンパク質を測定できなくなる可能性は低いといえます。複数の文献で「ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag」の変異株への反応性を報告しています。
ルミパルス® で反応性が 確認できているNタンパク質の変異アミノ酸
「ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag」「ルミパルスプレスト® SARS-CoV-2 Ag」について、下記のアミノ酸変異が入ったリコンビナントSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を用いて反応性を確認しています。いずれの製品においてもすべてのアミノ酸変異に対して陽性の判定結果を得ました。
変異アミノ酸(変異株の例)
- Wild Type(野生株)
- P13L
- P80R(Y株)
- S194L
- T205I(β株)
- I292T
- D3L, S235F(α株)
- D3L, R203K, G204R, S235F(α株)
空港検疫における有用性と実績
- PCR又はLAMP検査では、検査結果の判明まで最短でも 5時間程度かかっていたものが、1~2時間程度に短縮。
- 合計8か所の空港検疫所へ高感度抗原定量検査(50台)を提供。
- 包括的検査サポート提供は5か所。
- 日本だけでなくドイツ(ハンブルク空港)では2020年12月より「ルミパルス®」を使用。
- 複数の文献で空港検疫における「ルミパルス® SARS-CoV-2 Ag」 「ルミパルスプレスト® SARS-CoV-2 Ag」(CLEIA法による抗原定量検査)の有用性が示されている。
まとめ
ルミパルス®は核酸検査法に迫る性能を持つ
ウイルス量が少ない検体を除き核酸検査法と良好な判定一致率を示す。唾液も含め核酸検査法と同じ目的で使用することが認められている抗原検査試薬。
遺伝子変異の影響を受けにくい
変異の少ないNタンパク質を測定。固相、標識抗体ともにエピトープの異なる複数の抗体を使用。