微生物学的検査とは

微生物学的検査とは

微生物学的検査とは、感染症が疑われる患者から感染症等の起因菌を検出するため、喀痰や尿、便などの多種類にわたる検体を用いて検査することです。また、各検体から原因と思われる細菌を見つけ出し、どんな薬が有効かなどの試験を行い、早期診断と治療・回復に役立つ情報を取得します。食品の微生物検査では、食品の安全性を確認するために、食中毒を引き起こす微生物の有無を検査します。食品が原因と推定される食中毒が発生した場合には、その原因究明のため残っている食品等で検査が行われます。

微生物学的検査の項目

一般細菌

【主な検査項目】
塗抹鏡検

塗抹鏡検とはスライドガラス上に細菌を塗抹させ、各種染色を行った後に顕微鏡下で採取部位の細菌の有無や菌量及び菌種を迅速に特定します。

培養同定
培養同定とは、細菌感染が疑われた患者から診断のために病変と思われる部位から検体を採取して培養し、細菌の有無、菌量および菌種を知る検査です。

感受性検査
感受性検査とは、感染症を引き起こしている細菌には、どの抗生物質が効くかを調べる検査です。

一般細菌特殊検査

【主な検査項目】
CDトキシン(GDH)

CDトキシン(GDH)検査とは、クロストリジウム・ディフィシル感染症を診断する検査です。

ヘリコバクター培養同定
ヘリコバクター培養同定検査とは、培養同定検査でヒトなどの胃に生息するヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の有無や菌量を知る検査です。

大腸菌毒素関連

【主な検査項目】
大腸菌ベロトキシン

感染により出血性の大腸炎を起こす腸管出血性大腸菌はベロトキシンという毒素を産生します。大腸菌ベロトキシン検査とは検体中のベロトキシンを測定する検査です。

黄色ブドウ球菌関連

【主な検査項目】
TSST-1産生

毒素性ショック症候群(TSST)はブドウ球菌の産生する毒素TSST-1により引き起こされるもので、本検査を用いてTSST-1の産生の有無を調べることにより、TSSの確定診断が可能になる。

コアグラーゼ型別
コアグラーゼは黄色ブドウ球菌を産生する。Ⅰ~Ⅷ型のうち食中毒を起こすのはⅡ、Ⅲ、Ⅵ、Ⅶ型の4型で、この型別は食中毒発生時の疫学調査に広く応用されている。

環境検査

【主な検査項目】
院内環境(スタンプ法)

院内環境検査(スタンプ法)とは、有機溶媒(トルエン)を用いる職場での健康診断及び暴露時の有害性の指標として使われる。

スクリーニング検査

【主な検査項目】
O157スクリーニング

O157スクリーニング検査とは、腸管出血性大腸菌O157が懸念される集団や症状のない者を対象に検査を行い、罹患者や発症が予測される患者を検出するための検査です。

MRSAスクリーニング
MRSAスクリーニングとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が懸念される集団や症状のない者を対象に検査を行い、罹患者や発症が予測される患者を検出するための検査です。

便検診検査

【主な検査項目】
便検診2菌種

有機溶媒(スチレン)を用いる職場での健康診断及び暴露時の有害性の指標として使われます。

抗酸菌

【主な検査項目】
抗酸菌塗抹

抗酸菌塗抹検査は、喀痰や胃液などの検体について、抗酸菌のみを特異的に染色することで、検体中のヒト型結核菌など、抗酸性を持つ細菌を検出する検査です。

結核菌群抗原
結核菌群抗原検査は、ヒト型結核菌を他の類似する抗酸菌と簡便に鑑別する迅速同定検査法です。

核酸増幅同定検査

【主な検査項目】
結核菌群核酸同定

結核菌群核酸同定検査は、迅速で感度の高い抗酸菌の検出と同定が可能で、抗酸菌感染症の鑑別診断と治療の選択に有用な検査となっています。

培養同定検査

【主な検査項目】
ニューモシスチスカリニ(P.jirovecii)DNA

ニューモシスチスカリニ(P.jirovecii)DNA検査は、高感度で特異性の高いニューモシスチスカリニ:P.cariniiDNAの定性検査であり、治療効果判定に有用と考えられる。ニューモシスチス肺炎は適切な治療がなされなければ致死的となることから早期診断が求められている。

マイコプラズマニューモニエDNA
マイコプラズマニューモニエDNAは、非定型肺炎起炎菌であるM.pneumoniaeの臨床的特長としてβラクタム系抗菌薬が無効であるため、感染を特定することは臨床診断において重要な意義を有する。

淋菌DNA
淋菌DNA検査は、感度、特異性に優れ1本の検体よりクラミジアとの同時検出も可能であるため混合感染の診断にも有用である。また、簡便で非侵襲的なスクリーニング検査が可能である。