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マイコプラズマ肺炎急増!!
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマニューモニエを病原体とする呼吸器感染症です

 
-目次-
 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)とは?
 感染症発生動向調査
 全国の医療機関から弊社に依頼されたマイコプラズマニューモニエ(PA・CF)の検査
 数推移
 マイコプラズマニューモニエ(PA)における陽性率推移
 マイコプラズマニューモニエ(PA)における年齢群別 、陽性率推移
 今後の注目点
 検査受託要綱
 検査Q&A
 お問い合わせはこちらまで



 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)とは?
 

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)を病原体とする呼吸器感染症です。感染経路としては、飛沫感染による経気道感染や、接触感染によって伝播すると言われています。感染には濃厚接触が必要と考えられており、保育施設、幼稚園、学校などの閉鎖施設内や家庭などでの感染伝播はみられますが、短時間の曝露による感染拡大の可能性はそれほど高くはありません。潜伏期間は2~3週間とインフルエンザやRSウイルス感染症等の他の小児を中心に大きく流行する呼吸器疾患と比べて長く、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などです。本症の特徴的な症状である咳は、初発症状発現後3~5日より始まることが多く、乾性の咳が経過に従って徐々に増強し、解熱後も長期にわたって(3~4週間)持続します。
治療は抗菌薬投与による原因療法が基本ですが、Mycoplasma pneumoniae は細胞壁を持たないために、β-ラクタム系抗菌薬には感受性がありません。これまでは蛋白合成阻害薬であるマクロライド系(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)が第1選択薬とされてきましたが、以前よりマクロライド系抗菌薬に耐性を有する耐性株が存在することが明らかとなっており、近年その耐性株の割合が増加しつつあるとの指摘もあることから、注意が必要です。



 感染症発生動向調査
 

2011年第1~43週の定点当たり累積報告数は25.03(累積報告数11,539)であり、既に2000年以降の年間の最多報告数(2010年、定点当たり累積報告数22.50)を上回っています。年齢群別では0~4歳36.6%、5~9歳29.6%、10~14歳15.0%、20~39歳7.7%、60歳以上4.9%の順となっています。2007年以降は成人の報告割合がやや増加して全報告数の20%近くを占めるようになってきていますが、一方で14歳以下が80%前後を占めており、マイコプラズマ肺炎の報告の中心が小児であることには変わりはありません(図2)。

 

1. マイコプラズマ肺炎の年別・週別発生状況(20012011年第43週)

   
 

 

図2. マイコプラズマ肺炎の年別・年齢群別割合(2000~2011年第43週)

 

出典: 国立感染症研究所感染症情報センター感染症発生動向調査感染症週報 2011年第43週(10月24日~10月30日):通巻第13巻第43号 注目すべき感染症  マイコプラズマ肺炎より抜粋




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 全国の医療機関から弊社に依頼されたマイコプラズマニューモニエ(PA・CF)の
 
検査数推移
 
 

弊社で実施しているマイコプラズマニューモニエに対する抗体検査にはゼラチン粒子凝集反応(PA)、補体結合反応(CF)があります。図3に2000年1月から2011年12月に弊社に依頼のあったPAとCFの検査数を集計したグラフを示しました。2011年6月以降例年にないペースで大きく増加しており、サーベイランス患者報告数の推移にも合致しています。
 

 

図3.マイコプラズマニューモニエ(PA・CF)検査数と厚労省サーベイランス患者報告数の推移


 

 

(エスアールエルに依頼のあったマイコプラズマニューモニエ(PA・CF)検査数を一定の数値で除し、厚生労働省サーベイランス患者報告数との相関を見やすくした指標で示してあります。)

 

 マイコプラ ズマニューモニエ(PA) における陽性率の推移
  CFの依頼件数も増加していますが、特に依頼が急増しているPAについて集計しました。
図4に2007年1月以降の抗体価40倍以上の陽性率を棒グラフに、さらに、40倍以上の中に占める320倍以上の割合を
折れ線グラフに示しました。

毎年ピーク時の陽性率は30~50%でしたが、2011年は8月以降連続して50%以上に上昇しています。また、シングル血清で感染の目安となる320倍以上の割合も増加しています。
 

図4.マイコプラズマニューモニエ(PA)における陽性率の推移(40倍以上)


 

 マイコプラズマニューモニエ(PA) における年齢群別 、陽性率の推移
 

図5のグラフは2001年、2011年の年齢群別陽性率を抗体価別に集計した結果です。
2001年、2011年ともに、6歳以上では年齢が上がるにつれて陽性率が低くなっています。

2001年では、6-15歳の年齢群において陽性率が60%程度となりました。

2011年では、6-20歳の年齢群で70%程度となっています。また小児だけでなく、全ての年齢群において陽性率が増加していることがわかります。0-5歳の年齢群については、陽性率は他の年齢群と比べ43% 程度と高くはありませんが、陽性数は最も多くなっています。

   

図5.マイコプラズマニューモニエ(PA)における年齢群別陽性率推移 :2001年と2011年の比較

 

 今後の注目点
 

2012年に入り、弊社へ依頼されている検体数は減少傾向にありますが、なぜ2011年に急速に増加し流行がみられたのでしょうか? その要因は不明ですが、マクロライド系抗菌薬耐性菌の割合も増加しているとの報告もあり、今後も流行の動向に注意していかなければなりません。

尚、PA、CF、及びPCRの弊社依頼検査のより詳細な集計結果については、第53回臨床ウイルス学会で発表を予定しております。
 

 


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 検査受託要綱
  検査には抗体検査、遺伝子検査があります。
 
  抗体測定検査
     マイコプラズマニューモニ エ(PA)  マイコプラズマニューモニ エ(CF)
    遺伝子検査
   マイコプラズマニューモニエDNA(LAMP)


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 検査Q&A
  マイコプラズマニューモニエの血清抗体検査にPAとCFがありますが、特徴と使い分けを教えてください
 
   

PA、CFともIgM、IgG抗体のどちらとも反応します。グロブリンクラスを別けることはできませんが、PAはIgM抗体との反応性が強いと考えられます。 そのためPAはCFより早く抗体上昇がみられています。単一血清での急性感染の目安としてPAで320倍以上、CFで64倍以上との報告もあります。
しかし、マイコプラズマは繰り返し感染するので健常人においても一定の割り合いで抗体陽性者が存在しています。正確な診断のためには、PA、CFいずれの方法においても、発病初期と2~3週後のペア血清を同時に測定し、4倍以上の上昇を確認することが重要です。

      
参考文献
   1)稲見由紀子著 疾患と検査値の推移、 「マイコプラズマ肺炎」 検査と技術 34(6)、2006
   2)成田光生 マイコプラズマ肺炎 診断と治療 vol.98-No.8 2010(105)
     
  抗体検査以外にはどんな検査がありますか?
 
   

抗体検査以外の検査法には培養法や遺伝子増幅法などがあります。
培養法は、もっとも確実な確定診断法ですが、結果判定までに時間を要する為、早期診断には適していません。
そのため、近年では感度と迅速性に優れた遺伝子増幅法(LAMP)が用いられています。
しかし、
菌株の確保や保存ができないため、薬剤耐性などの詳しい細菌学的性状を調べることはできません。 

 

 


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