Q2. |
ANSWER |
|
中枢神経系ウイルス感染症、特に単純ヘルペス脳炎(HSVE)では、髄液中に ウイルス特異抗体の局所産生が起こるため、そのウイルス特異抗体を検出することが、診断をする上で有用となります。しかし、HSVEの場合、血液脳関門の破壊によって髄液中には血液からの抗体の移行もあるため、髄液で抗体が検出された場合、血液からの移行抗体なのか、髄液中の局所産生抗体なのかに注意しなければなりません。 |
|
|
現在、我々が実施しているEIAには、抗体捕捉EIAと抗原固相化EIAがあります。中枢神経系ウイルス感染症の診断には抗体捕捉EIAにて髄液と血清の検査結果を比較することが有用ですが、抗原固相化EIAでも検査結果に注意すれば利用することができます。
|
|
|
抗体捕捉EIAは、髄液50倍、血清200倍の希釈倍率で実施しており、飽和量のIgGを捕捉し、グロブリンに対する比活性を見ているため、希釈倍率が違っていても検査結果をそのまま比較することができます。この場合、髄液中に局所抗体が産生されていると髄液/血清抗体比は、1以上となります。
|
|
|
次に抗原固相化EIAは、髄液20倍、血清200倍の希釈倍率で実施されており、同じ検量線を用い、判定基準、表示される結果も髄液と血清で同じです。
したがって、髄液と血清のデータを比較する場合には、髄液の検査結果を1/10にして髄液/血清抗体化をみることになります。そしてこの場合には、髄液/血清抗体比が1/20以上であるとHSVEの確率が高いとLevinらは提唱しています。尚、当社では平成11年7月1日ご依頼分より髄液の検査結果は1/10に換算した数値でご報告しています。したがって、平成11年7月1日ご依頼分からは、検査結果を改めて換算する必要はなくなりました。
|
|
|
実際に、髄液と血清のペア検体を4組用いて、抗体捕捉EIAおよび抗原固相化EIAを測定し、検証した結果を表に示しました。髄液/血清抗体比をみてみますとサンプル1.2は、抗体捕捉EIAにおいて1以下、抗原固相化EIAにおいても1/20以下であることから、髄液の抗体は血液中からの移行抗体と思われます。サンプル3.4は、抗体捕捉EIAにおいて1以上、抗原固相化EIAにても1/20以上であり、髄液の抗体は局所抗体を示唆するものと思われます。
|
|
|
*抗原固相化EIAの髄液の数値は1/10換算値に変更されたものです。(
平成11年7月1日ご依頼分より変更)
サンプル
No. |
|
|
|
1 |
|
|
0.67
143.0 |
1
213 |
( |
0.67
143.0 |
) |
|
2 |
|
|
1.53
76.2 |
1
50 |
( |
1.53
76.2 |
) |
|
3 |
|
|
35.20
474.0 |
1
13 |
( |
35.20
474.0 |
) |
|
4 |
|
|
83.20
219.0 |
1
3 |
( |
83.20
219.0 |
) |
|
|