NGは、性感染症の病原微生物 のひとつです。NGは弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅します。そのため、性行為や性交類似行為以外で感染することは稀であるとされています。 男性のNGによる尿道炎は排尿痛などの自覚症状を伴い発症しますが、最近では典型的な症状ではなく、無症状に経過することも報告されています。女性では主に子宮頚管炎を引き起こしますが、男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがあります。近年、抗菌薬に対する感受性の著しい低下が報告がされています。
~2007/7から2010/9の集計結果より~(2010年日本性感染症学会弊社発表資料より)~
2007年7月から2010年9月までの弊社依頼検体を1~3月、4~6月、7~9月、10~12月の4期間に分け、検査法別に集計しました。
検査項目別にみた男女別CTおよびNG陽性率推移
男女を比較するとCT・NGとも男性の陽性率に比べ女性では低くなりました。男性では自覚症状があって検査する場合が多いと考えられるため、CT・NG(20~30%)ともに高く、一方女性では妊婦健診でのスクリーニング検査が多いと考えられるため、低くなった(CT:5~10%、NG:2~3%)と推察されます。 TMAにおける男女別CT陽性率の推移をみると、女性におけるCT陽性率は10.4%を示した2007年以降、年々緩やかに低下する傾向が認められました。 男性においてはCTおよびNG共にほとんど変動が認められませんでした。女性のCT陽性率は全期間を通じて、男性より低い結果となりました。図には示していませんが女性のCT陽性数は男性の約1.6倍ほど多い結果となりました。NGにおいては、男性の陽性率と陽性数が共に高い結果となりました。
女性の咽頭材料でのCTおよびNGの陽性数と陽性率推移を集計しました。尚、男性は依頼数が少ないため除外しています。咽頭材料での検査対象となる母集団の背景が不明ですので参考としてデータを示しますが、平均陽性率はCT5.5%、NG8.3%となりました。 近年、性行為の多様化により口腔性交によるCTおよびNGの咽頭への感染者増加が懸念されていますが、その中でも性産業従業女性(CSW)では性器より咽頭から検出される率が高く、そのことから男性の淋菌性尿道炎の約半数以上はCSWの咽頭が感染源であると指摘されています。 CTおよびNGの咽頭感染者の多くは無症状・無症候であり、それが感染蔓延の一因であると推察されるため注意が必要です。参考資料) 尚、咽頭検体での材料については2009年10月に保険が追加適用されています。 また、2011年の日本性感染症学会ガイドラインでは咽頭スワブに比べ患者負担の少ない口腔内うがい液(保険未収載)が推奨ランクAに上げられました。 参考資料:性感染症 診断・治療 ガイドライン2011 日本性感染症学会誌,Vol22,No.1 Supplement
妊婦健診が多くを占めると思われる女性のCT陽性率はTMAおよびPCRで5~10%となりました(図1.CT女性のグラフ参照)。その頻度は低いとはいえ母子感染の危険性が示唆されます。そこで次回のClose-upでは今回に続き、クラミジアおよび淋菌のpart2として小児年齢を対象した集計結果を報告したいと思います。
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