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全国の医療機関から弊社に依頼されたPB19抗体と遺伝子の検出状況
-1998年からの集計結果と近年の傾向-(第43回日本小児感染症学会弊社発表資料より) |
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弊社は1988年より全国から、感染症検査の依頼を受けて報告した一部の項目の結果を、データベース化し、集計、開示しています。今回、PB19(ヒトパルボウイルスB1)の感染動向をみるために、1998年以降の検査結果を集計しました。調査対象期間は1998年1月から2011年8月の13年8ヶ月間です。集計の対象とした検査項目は弊社に依頼のあったEIA法を用いたPB19IgM抗体(急性期に出現する抗体)およびPB19DNAの検出としました。
IgM抗体検査は”ウイルス抗体EIA「生研」パルボIgG、IgM;デンカ生研株式会社”の検査試薬を、PB19DNAの検出はPCR法により、非構造蛋白質領域を増幅、検出する、J.Sセーバルらの報告した方法を用いました。1)
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1)J.Sanders Sevall(1990);Detection of parvovirus B19 by dot-blot and polymerase
chain reaction;Molecular and Cellular Probe.237-246
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PB19IgM抗体指数別陽性数と陽性率の推移 |
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PB19IgM抗体が陽性(1.0以上)となった検体を抗体指数別
(1.0~2.0未満、2.0~4.0未満、4.0~8.0未満、8.0以上)に色分けして棒グラフに示しました。赤色の折れ線グラフはPB19IgM抗体の陽性率を示しています。1998年から2007年までのPB19IgM抗体の陽性数および陽性率は周期的に推移していましたが、2007年6月より急激に下降し、周期的な変動はみられるものの低い水準が2010年春頃まで続いています。その後、2010年夏頃より急激な上昇が認められ、2011年6月の陽性率は30.5%まで上昇しました。2011年におけるPB19IgM抗体の陽性数は1998年以降、最多となりました(図1)。
さらに同集団を男女別に5つの年齢群
(1-5歳、6-10歳、11-15歳、16-20歳、21歳以上)に分け集計しました。陽性率を赤色の折れ線グラフで、陽性数を棒グラフに示しました。21歳以上の年齢群では検査数のスケールが他の年齢群の150倍となっています。結果として、2011年の陽性数は、男女共に、全年齢群で1998年以降最多となりました。陽性数は男女ともに21歳以上で高い結果となりました
(図2)。
この中で、特に注目したのは、青のラインで囲んだ期間の21歳以上の女性の陽性数です。そこで、この年齢群を含む16歳以上の女性を対象に集計しました。
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図1.PB19IgM抗体指数別陽性数と陽性率の推移
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図2.PB19IgM抗体指数別陽性数と陽性率の推移(性別、年齢群別)
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年齢群別でみたPB19IgM抗体陽性率の推移(女性) |
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年齢の記載のあった2007年1月から2011年8月まで
の52,111件を対象に、16歳から50歳までを16-20歳、21-30歳、31-40歳、41-50歳と50歳以上の5つの年齢群に分け、PB19IgM抗体の陽性率を集計しました。陽性率の最も高かったのは41歳から50歳の年齢群でしたが、
陽性数が最も多かったのは31歳から40歳の年齢群でした(図3、図4)。
図4の円グラフは2010年6月~2011年8月を対象期間とした各年齢群における陽性数の占める割合 |
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図3.PB19IgM抗体陽性率の推移(女性、年齢群別)
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図4.PB19IgM抗体陽性における年齢群別の割合(2010年6月~2011年8月)
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産婦人科由来検体でのPB19IgM抗体およびDNAの陽性数、陽性率の推移 |
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図5、6は診療科欄に”産婦人科”等の記載のあった検体を対象に集計したグラフです。図5はPB19IgM抗体の陽性数と陽性率の推移
で棒グラフが陽性数、赤色の折れ線グラフが陽性率です。図6はPB19DNAの陽性数と陽性率の推移で、1年ごとの陽性数と陽性率を示しました。両項目ともに2010年夏頃から陽性数および陽性率の増加が認められます。2011年のPB19DNAの陽性率は48.5%と高い値を示しました
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図5.PB19IgM抗体陽性数、陽性率の推移(産婦人科由来検体)
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図6.PB19DNA陽性数、陽性率の推移(産婦人科由来検体)
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