感染症検査統計情報サービス
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小児および16歳以上における中和抗体検査数の推移

    弊社依頼の検体は16歳以上がほとんどを占めます、、、
 

小児における7月、8月の中和抗体の推移に注目してみました!!

    手足口病と今年の流行状況について 国立感染症研究所感染症情報センター 感染症発生動向調査 より
    検査診断の際の特徴と注意点
    検査受託要綱
 

 

検査Q&A
 

 

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小児および16歳以上における抗体検査数の推移
 
   図1、図2は弊社における コクサッキーウイルスA群16型(CA16)、コクサッキーウイルスA群6型(CA6)、エンテロウイルス71型(EV71)中和抗体検査の検査数を小児にあたる1歳~15歳と16歳以上を対象に集計した結果です。図1は小児と16歳以上についてCA16、CA6、EV71の検査数を指数で示しました。

 CA16、CA6、EV71共に どちらの年齢においても増加しています。 弊社の検査数は国立感染症研究所感染症情報センター感染症発生動向調査 (IDWR)の報告数と同様に過去最多となり、特にCA16が大きく増加しています。(図1)
 
 表1に5月の検査数を1.0として、検査数の動き(伸び率)を示しました。どちらの年齢においてもCA6が最大となりました。小児においては69.0倍と大きな伸びとなっています。
 

 

図1.弊社におけるCA16、CA6、EV71中和抗体検査の月別検査数の推移
    (2008年1月~2011年8月)
 



表1.
CA16、CA6、EV71中和抗体検査数の動き(伸び率 )

 


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弊社依頼の検査は16歳以上がほとんどを占めます,,,
 
  図2は小児と16歳以上についてCA16、CA6、EV71の検査数を占有率で示しました。

 一般的に手足口病は小児(特に1歳頃が最多で年齢を重ねるとともに発生は減少傾向となる)の疾患ですが、弊社への検査依頼のほとんど が発生報告数の少ない16歳以上となっています。
抗体陽性率も16歳以上では小児に比べ
CA16、CA6、EV71ともに高い傾向です。これは小児の時期に複数のエンテロウイルスに感染することで、複数の抗体を保有し現在に至っているためと思われます。
 
 

 

図2.項目別・年齢別検査数占有率


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小児における7月、8月の中和抗体の推移に注目してみました!!
 
   CA16、CA6、EV71の中和抗体価は7月に比較し、8月は抗体陽性率が全てにおいて高い傾向が認められました。2011年流行の主流となっているCA6の抗体陽性率は3項目中で最も高い63.0%でした。 (図3)
 


 

 

図3.小児におけるCA16、CA6、EV71中和抗体検査の2011年7月、8月度抗体陽性率の推移
    


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手足口病と今年の流行状況について
 
 手足口病は、口腔粘膜および四肢末端に現れる水疱性丘疹と発熱を主徴とし、乳幼児を中心に主に夏季に流行する急性ウイルス感染症です。稀に髄膜炎等の症状を伴うこともありますが、一般的に予後良好な感染症です。IDWRによると、病原となるウイルスは主にCA16、CA6、EV71です。

 IDWRでは、全国約3,000カ所の小児科定点からの報告に基づいて手足口病をはじめとする各種小児科疾患の発生動向を分析しています。手足口病の報告数は2011年第19週以降増加が続いており、第27週の定点当たり報告数は9.7(報告数30,506)と 第26週(定点当たり報告数7.2)よりも更に大きく増加し、1982年に同調査が開始されて以来最多の報告数となっています。 図4はIDWRで報告された20012011年第27週までの手足口病の年別・週別発生状況、図5は手足口病由来ウイルス分離・検出報告割合(2007~2011年第27週)です。

図4. 手足口病の年別・週別発生状況(2001~2011年第27週)

クリックすると拡大します。

 

図5.手足口病由来ウイルス分離・検出報告割合(2007~2011年第27週)

 

参考・出典:国立感染症研究所感染症情報センター 感染症発生動向調査

 
  この報告から手足口病の主な病因ウイルスは2008年ではCA16、2009年ではCA16、CA6、EV71、その他、2010年ではEV71、2011年はCA6ということがわかります。2010年に流行の主流であったEV71は2011年ではほとんど報告がありません。
 


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検査診断の際の特徴と注意点
 

 通常は臨床症状から診断することが多い感染症です。

 抗体測定検査
 血清診断は補助的に行われますが、その場合には、エンテロウイルス間での交差反応が極めて少ない中和抗体の測定が勧められます。急性期と回復期の血清で4倍以上の抗体価上昇により診断が可能です。 ただし、不顕性感染も多いので、検査結果の解釈には注意が必要です。
また、中和抗体検査法は、型特異性が高いことが特徴のひとつです。例えば、CA6が病因となった手足口病において、CA16やEV71の中和抗体を依頼しますと、有意な結果(ペア血清による有意上昇等)が得られないことがありますので、 依頼項目の選択には注意が必要となります。


 

  2007~2011年の手足口病の主な病因ウイルスは2008年ではCA16、2009年ではCA16、CA6、EV71、その他、2010年ではEV71と報告されています。2011年2月から7月に手足口病と臨床診断された症例において分離されているエンテロウイルス属を多い順に並べますと、CA6(178例)>CA16(56例)>CB4、EV71(各3例)、>エコー3、CA10(各2例)>エコー25、EV68(各1例)等です。(病原微生物検出情報2011年8月号)  

 ウイルス分離・同定検査
 検査診断としてはウイルス分離が重要です。その場合の検査材料として水疱内容物、咽頭拭い液、便、直腸拭い液などが用いられます。


 ウイルス遺伝子検査
 弊社におけるエンテロウイルスRNA遺伝子検査ではエンテロウイルス属に共通な部分を検出しますので、型の特定は不可能です。

エンテロウイルスRNA遺伝子検査は、RT-PCR(Reverse Transcription-PCR;逆転写PCR)を用いた検査方法です。ウイルス分離同定法と比較して高感度・迅速にウイルスRNAを検出可能であり早期診断に有用です。 ただし、型の特定は出来ません。
検出部位は、エンテロウイルス属の塩基配列における相同性が高い5'-NCRとVP4(キャプシド蛋白質を担うP1領域の一部)の一部の領域であり、分離困難なウイルスも検出可能です。(NCR;non-coding region 、VP;viral protein )

検出の確認が出来ている型はエコーウイルス1型~5型、7型、9型、11型~19型、21型、24型、25型、29型~31型、コクサッキーウイルスA群2型~7型、9型、10型、16型、24型、コクサッキーウイルスB群1型~6型、エンテロウイルス70型・71型及びポリオウイルス1型~3型です。

臨床症状から 髄膜炎を伴う手足口病を疑う場合に適した主な検査材料は髄液です。手足口病・ヘルパンギーナ・上気道炎であれば主な検査材料は 口腔や咽頭拭い液となります。 また、ウイルスは便にも排出されますので、糞便も検査材料の対象となります。ウイルス分離・同定も同様です。

 


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検査受託要綱
 

検査には抗体検査、ウイルス分離・同定検査およびウイルス遺伝子検査があります。
 抗体測定検査
 A16  A6   EV71 
 その他の関連するエンテロウイルス属(CB4・ CB10、エコー3エコー25 等)
 ウイルス分離・同定検査
 分離  同定
 ウイルス遺伝子検査
 エンテロウイルス RNA


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検査Q&
 

SRLで手足口病の診断に使用する検査を教えてください?
  

 

受託要綱をご参照ください。

ウイルス分離、同定ではどこまで確定できますか? 型までわかりますか?

 

ウイルス分離は各ウイルスの科名までを報告します。例えば手足口病の場合のウイルス科はPicornavirus科ですので報告は「Picornavirus科と思われます」となります。ウイルス同定は分離されたウイルス名と血清型別までを 報告します。
 
同定できる型につきましては営業担当者までお問い合わせください。

エンテロウイルスRNA遺伝子検査の概要について教えてください。
また、
検査を依頼する場合、検査材料(検体)は何が適切でしょうか?

 

検査診断の際の特徴と注意点”ウイルス遺伝子検査”をご参照ください。
  手足口病の病因ウイルスで髄膜炎を起こすことはありますか?その場合、診断に有効な検査と検査材料を教えてください。
また、抗体検査で診断する場合、ペア血清はどのくらいの期間をあけて採血したらいいですか?
    手足口病はCA16、CA6、CA10、EV71などのエンテロウイルスにより発症しますが、基本的に予後は良好な疾患です。
しかし、急性髄膜炎の合併が時に見られ、稀ですが急性脳炎を生ずることもあります。なかでもEV71は髄膜炎等中枢神経合併症の発生率が他のウイルスより高いことが知られています。2010年度では手足口病の 病因ウイルスの主流がEV71であったため、髄膜炎等中枢神経合併症の発生が懸念されました。

髄膜炎を伴う手足口病の確定診断のためには髄液からのウイルス分離が診断的価値が高いとされています。しかし、髄液からのウイルス分離率は一般的に低いため、糞便、口腔や咽頭拭い等の髄液以外の 検査材料を採取し保存しておくことが肝要です。

臨床検体から直接ウイルス遺伝子検査を行う場合の検体はウイルス分離の検体採取に準じます。検査をより正確で効果のあるものにするために検体は発症後できるだけ早く採取し検査に供します。すぐに検査に供しない場合は、凍結保存します。

抗体検査のためには、発症後早期に採取した急性期血清と発症後2週間以上経過した回復期血清を採取し、4倍以上の有意上昇があった場合に感染が証明できます。

 


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