オオトモヤスヒロ わが国の災害医療体制は、1995年の阪神・淡路大震災で多くの「防ぎ得る災害死」を経験し、その教訓を基に、「災害拠点病院の整備」、「広域災害・救急医療情報システムの整備」が進められ、さらに2005年から災害派遣医療チーム(DMAT)の整備が行われてきた。しかしながら、2011年に発生した東日本大震災においては、DMATが想定していなかった多くの「新たな防ぎ得る災害死」に直面した。避難所または自宅に避難した方々のうち、過酷な環境から健康状態が急激に悪化し、命を落とす「災害関連死」が多発した。その教訓を生かして、その後の熊本地震、西日本豪雨災害では、避難生活者への早期からの保健医療が提供された。さらに老人施設・福祉施設への支援を包含する医療・保健医療・福祉を一体として対応する体制整備が求められるようになった。その中で、本年1月に発生した能登半島地震では、この一体化した体制が初めて有効に機能した災害であった。 災害時の「防ぎ得る死・防ぎ得る悲劇」を如何に最小限にするか、現在の取組について紹介する。主な研究領域救急医学、外傷外科学、災害医学、集中医療医学主な著書編著「標準多数傷病者対応MCLSテキスト」(ぱーそん書房)「外傷外科手術スタンダード」(羊土社)「救急・ICUでの新型コロナウイルス感染症対応マニュアル」(メディカ出版)1984年 日本医科大学医学部医学科卒業 日本医科大学救急医学教室入局1994年 日本医科大学付属千葉北総病院救命救急部医局長1995年 国立病院東京災害医療センター救命救急センター第2外科医長2006年 東京医科歯科大学大学院救急災害医学分野教授2011年 厚生労働省「災害医療等のあり方に関する検討会」座長2012年 東京都災害医療コーディネーター(現職)2016年 日本Acute Care Surgery学会理事長 厚生労働省日本DMAT検討委員会委員長(現職)2019年 日本災害医学会代表理事(~2023年)2023年 日本救急医学会代表理事 国立病院機構災害医療センター病院長(現職)国立病院機構災害医療センター病院長 康大友裕3わが国の災害医療体制はどうなっているか ─度重なる震災を経験して─
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