ヒロオオニシアキ 血液中には、赤血球、白血球、血小板という3種類の細胞があり、赤血球は体のすみずみに酸素を運ぶ、白血球は体に入った病原体を退治する、血小板は血を固めて止血する、という、それぞれ生命の維持にきわめて重要な役割を担っている。これらの細胞の数や種類を調べる検査を血球算定(血算)と呼び、専用の機械を用いて検査することが一般的だが、異常な細胞の形を見るには現在でも顕微鏡を用いて人の目で直接観察する検査が重要である。また、止血・凝固・線溶(血栓を溶かすこと)に関係する検査を血栓止血関連検査と呼び、血小板の機能のほか、凝固や線溶に必要なフィブリノゲンやプラスミノゲンなどの様々な蛋白質に関連する検査を行う。この両者を合わせて血液学的検査と呼んでいる。 一方、血液型検査など、輸血する血液を選ぶ際に必要となる赤血球のタイプや、輸血の際に副反応として起こる溶血(赤血球が壊れること)に関係する抗原抗体反応について調べる検査を輸血検査と呼ぶ。また、献血の際に行われる感染症検査なども、輸血副反応に関係するという点で広い意味では輸血検査に含まれる。 本日は、血液中で働くこれらの細胞のことを知るために必須の検査である血液学的検査・輸血検査と、それを用いた貧血や白血病などの血液疾患の診断・治療について、医療関係者でない皆様にもできる限りわかりやすい内容となるよう、ご紹介させていただく。主な研究領域静脈採血法、白血病・がんの遺伝子検査主な著書共同編集「標準臨床検査医学第5版」(医学書院)「臨床検査データブック2023-2024」(医学書院)「臨床検査ガイド2020改訂版」(文光堂)1990年 東京大学医学部医学科卒業 1996年 東京大学医学部小児科助手1999年 ベイラー医科大学遺伝子治療部門研究東京大学医学部附属病院小児科研修医2001年 杏林大学医学部臨床検査医学教室講師2015年 杏林大学医学部臨床検査医学教室教授2016年 杏林大学医学部付属病院臨床検査部長2021年 臨床検査技師国家試験委員長(2021-2022)2022年 日本臨床検査医学会理事長2022年 日本臨床検査振興協議会理事2023年 日本臨床検査標準協議会理事杏林大学医学部 臨床検査医学教室 教授 宏西大明員7血液学的検査・輸血検査~血液中で働く細胞についてもっと知りたい!
元のページ ../index.html#9