第44回 臨床検査の最前線
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紀手9 2015年 長崎大学医学部副医学部長(兼任)2021年 長崎大学病院臨床検査科部長(兼任)ヤナギカツノリ 感染症の原因となる病原体は、ウイルス、細菌、真菌(カビ)および寄生虫など、多種多様である。ウイルスの代表は、インフルエンザ、新型コロナウイルス、肝炎ウイルス等であり、細菌では、ブドウ球菌や大腸菌などが良く知られている。感染症検査は、病気の原因となる病原微生物を見つけたり、存在を確認するために実施される。ウイルスの大きさは、0.1μm(10,000分の1ミリ)程度であり、細菌でも1μmなので、肉眼で見ることはできない。そのため、いくつかの方法が開発されてきた。顕微鏡を用いて拡大する方法や特有のたんぱく質を見つける抗原検査、PCR法に代表される遺伝子検査などがある。微生物そのものを増やす方法として培養検査も行われる。人間の体にある病原体に対する抗体を測定することも有用である。調べる検体は、血液をはじめ感染した臓器の分泌液や尿、便、痰、胃液、髄液、膿などの体液が対象となる。感染している病原体を明らかにすることは、治療薬を決めるだけではなく、隔離が必要かどうかを判断するためにも、重要な情報になる。 講演では、感染症検査の種類や結果の使い方に関してお話しする。感染症検査の役割を理解していただけたら幸いである。主な研究領域臨床検査医学、感染症学、臨床微生物学主な著書編集「医療スタッフのための微生物検査のススメ」(ヴァン メディカル)作成委員「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」(厚生労働省)1991年 長崎大学医学部卒業 1997年 長崎大学大学院修了 長崎大学医学部付属病院第二内科米国ネブラスカ大学生化学分子生物学教室研究員1999年 長崎大学医学部付属病院第二内科・助2006年 長崎大学病院検査部・講師2007年 同感染制御教育センター・副センター長(兼任)2011年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学分野准教授2013年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 病態解析・診断学分野教授長崎大学病院検査部部長長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 病態解析・診断学分野 教授ハラ原栁 克感染症検査~見えない敵をみつける~

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