第43回 再生医療の最前線
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ヤ八代ミ美教6シロヨシ 再生医療や細胞治療は、これまで治療法が乏しかった病気や怪我に画期的な改善をもたらす可能性をもつため、世界中でたくさんの研究が行われている。それらは患者さんやご家族をはじめ、社会全体からおおきな期待を寄せられ、そして協力を受けている。 こうした研究が新たな医療として普及するためには、それぞれの治療法が安全なのか、しっかり効果があるのか、といったことを確かめる臨床試験(治験)の結果をもとに、国が「治療効果があるかどうか」を審査している。そして、治験には患者・市民のみなさんの協力なしには成立しないものである。その一方、新しい医療に対して過剰な期待を煽ったり、既存の治療で十分な効果を得られなかった患者の希望を利用しようとするかのような情報発信も行われている。今回の発表では、再生医療をとりまく社会の状況について整理しつつ、研究者や医療従事者が、社会と知識や責任を共有しながら、新しい医療技術を社会実装していく「責任ある研究・イノベーション(RRI)」、そして患者や非専門家とともに医療研究をつくりあげていく「患者・市民参画(PPI)」の重要性についてお話しする。主な研究領域幹細胞生物学、科学技術社会論、再生医療主な著書翻訳:ジョナサン・スラック著、八代嘉美訳「幹細胞――ES細胞・iPS細胞・再生医療」(岩波書店)「増補 iPS細胞 世紀の発見が医療を変える」(平凡社)共著:「死にたくないんですけど iPS細胞は死を克服できるのか」(ソフトバンククリエイティブ)共著:「再生医療のしくみ」(日本実業出版社)2004年 名城大学薬学部薬学科卒業2004年 東京大学大学院医学系研究科医科学専攻(修士(医科学))2006年 東京大学大学院医学系研究科病因・病理学専攻(博士(医学))2009年 慶應義塾大学医学部生理学教室特任助2011年 東京女子医科大学先端生命医科学研究所特任講師2012年 慶應義塾大学医学部特任准教授2013年 京都大学iPS細胞研究所上廣倫理研究部門特任准教授2018年 神奈川県立保健福祉大学イノベーションスクール設置準備担当2019年 現職2022年 東京都健康長寿医療センター(クロスアポイントメント)、慶應義塾大学殿町先端研究教育連携スクエア特任教授神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科 教授 嘉再生医療・細胞治療の時代を社会とともに創るために

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