武ベ部則 4タケタカノリ 近年、オルガノイド(ミニ臓器)とよばれる器官類似組織を活用した医学研究に注目が集まっている。すなわち、人工誘導性多能性幹(iPS)細胞などの培養系において、器官発生過程で生じるキーイベントを再構成することによって、あらゆる臓器を対象にさまざまなオルガノイド創出が報告されている。われわれのグループでも、血管、神経、間質細胞、免疫細胞といった多細胞系からなる複雑な肝臓オルガノイド創出法を確立し、臓器の機能欠損を補うための移植医療への応用可能性を示してきた(Nature, 2013: Cell Stem Cell, 2015: Nature, 2017)。さらに、ごく最近では、多様な患者に由来する疾患を模倣したオルガノイドを用いることで、人間では評価が困難な個体差に迫ることの可能な評価系を確立し、ゲノム医療や創薬への展開への活路を見出してきた(Nature, 2019: Nat Med, 2020: Cell, 2022)。 本講演では、医薬品開発や再生医療応用などオルガノイドを用いて臨床医学への実質的還元を目指す新潮流、オルガノイド医学(Organoid Medicine)研究の最前線について議論したい。主な研究領域幹細胞生物学、再生医学、肝臓病学主な著書「治療では遅すぎる。ひとびとの生活をデザインする「新しい医療」の再定義」(日本経済新聞出版)2011年 横浜市立大学医学部医学科卒業 横浜市立大学臓器再生医学助手2012年 横浜市立大学先端医科学研究センター 研究開発プロジェクトリーダー2013年 横浜市立大学臓器再生医学准教授2014年 スタンフォード大学幹細胞生物学研究所客員准教授2015年 シンシナティ小児病院消化器部門・発生生物学部門准教授(現職)2016年 T-CiRA Jointプログラム研究責任者(現職)2017年 シンシナティ小児病院オルガノイドセンター副センター長(現職)2018年 横浜市立大学先端医科学研究センター 教授2018年 東京医科歯科大学統合研究機構教授 (現職)横浜市立大学コミュニケーション・デザイン・センターセンター長(現職)2019年 横浜市立大学特別教授東京医科歯科大学 統合研究機構 先端医歯工学創成研究部門 教授 貴ミニ臓器を用いた医学研究最前線
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