第43回 再生医療の最前線
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フカガワマサフミ これまで何度となく候補に挙がっていたが、まだ時期尚早ということで見送られていた「再生医療」を今回テーマとして取り上げることができ、大変嬉しく、ワクワクしている。再生医療ということばは、一般の人たちの口にものぼるようになったが、その医療への応用は、どのような用途で、どのくらい進み、将来どのように発展していくのだろうか。 再生医療の基礎には、ES細胞やiPS細胞の確立という技術的なブレークスルーだけでなく、長年にわたる発生学研究の成果をその基礎にしている。その過程で、研究手法の発達により、従来の初期発生だけでなく、さらに複雑な臓器の発生過程が、細胞レベル、分子レベルで明らかになってきた。それらをもとにして、最終的には臓器そのものを作ろうというのが再生医療の目標であることは間違いない。 その完全な達成は、まだ少し先のことかもしれないが、すでにミニ臓器や疾患特異的iPS細胞を用いた病態解明や薬剤の開発、損傷臓器のiPS細胞による治療などが、続々と現実化している。 このシンポジウムでは、そのような日進月歩の再生医療の進歩をさまざまな角度から取り上げ、さらにその倫理的な側面にまで迫る予定である。人生100年と言われ始めた現代、再生医療は、われわれの未来にどのような恩恵を与えてくれるかを、一緒に考えてみたい。主な研究領域慢性腎臓病、糖尿病性腎症、水電解質代謝異常、骨ミネラル代謝、尿毒症主な著書「やさしい腎臓病患者のためのリン・カルシウム代謝の自己管理〜保存期・透析期から移植期まで〜」(医薬ジャーナル社)「レジデントのための腎臓病診療マニュアル 第3版」(医学書院)「腎臓・水電解質コンサルタント 第2版」(金芳堂)「透析患者の検査値の読み方 第4版」(日本メディカルセンター)1983年 東京大学医学部医学科卒業 東京厚生年金病院内科、公立昭和病院腎臓内科勤務1990年 東京大学医学部附属病院第一内科助手1992年 米国バンダービルト大学リサーチフェロー1995年 宮内庁侍従職、侍医1997年 東京逓信病院循環器科(腎臓内科)医2000年 神戸大学医学部附属病院助教授、代謝機能疾患治療部部長2007年 神戸大学大学院医学研究科内科学講座腎臓内科学分野長、戦略的独立准教授、腎・血液浄化センター長2009年 東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科専任教授2020年 東海大学内科学系長2021年 東海大学医学部副学部長東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科 教授 雅深川史師 1はじめの言葉

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