第43回 再生医療の最前線
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タカハシマサ iPS細胞を用いた網膜細胞移植は2014年の加齢黄斑変性に対する自家網膜色素上皮細胞移植に始まり、2017年の拒絶反応を抑えた他家網膜色素上皮移植で安全性を確認した後、現在は効果を確認するフェーズに入っている。さらに網膜の別の細胞である神経網膜シート(視細胞)移植も2020年に開始となり安全性が確認された。こうして網膜の再生医療は、加齢黄斑変性や網膜色素変性のような網膜の外側半分の層(網膜外層)の疾患群に対する「治療」の準備が整いつつある。 一方で、再生医療(細胞治療)は新しい医療分野であり手術を伴うため従来の薬の開発のような既存のルールは必ずしも当てはまらない。また、当初は高額の医療であるが、治療法のない進行性の疾患に対して進行を止める効果は期待できるものの視力が大幅に上がるというタイプの治療でないことも多く、コストとベネフィットにギャップがある。これらの性質を持つ再生医療を持続可能な一般的な「医療」として成り立たせるためには、皆で医療の仕組みから考える必要がある。再生医療成功の鍵を探る。主な研究領域網膜変性疾患、黄斑部疾患、再生医療研究101986年 京都大学医学部卒業1992年 京都大学大学院医学研究科博士課程(視覚病態学)修了1992年 京都大学医学部附属病院眼科助手1995年 アメリカ・サンディエゴソーク研究所研究員1997年 京都大学医学部附属病院眼科助手2001年 京都大学医学部附属病院探索医療センター開発部助教授2006年 理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクトプロジェクトリーダー(2012年までチームリーダー)2019年 株式会社ビジョンケア代表取締役社長公社NEXT VISION/株式会社ビジョンケア代表取締役社長 政髙橋ヨ代持続可能な 網膜再生医療

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