イシケン コロナ禍で起きた、そしてまだ音を立てて進んでいるワクチン開発研究の破壊的イノベーションは、コロナ禍以前には「ワクチンといえば専ら予防接種、感染症分野のことでしょう」、「(ワクチンは)先端科学、技術というほどのものではないでしょう」といった日本の一部のアカデミア、産業、行政、世論の認識を完全に過去に葬り去った。実際のところは、20年ほど前からワクチン開発研究に地殻変動はとうに始まっていて、欧米では医薬品開発において温故知新の革新的モダリティーとして再認識され、mRNAやDNAだけではなく、ウイルスベクター、組み換えタンパク、VLP、ペプチド、アジュバントなどの創薬が激しい勢いで進化していたのは今では周知の事実である。将来はがんやアレルギー、各種免疫「関連」疾患に対する先制医療の一翼を担うと考えられている。 本セミナーではSARS-CoV2に対するmRNAワクチン、免疫核酸医薬による免疫療法、細胞外核酸による免疫制御機構やその新規計測システムなど、我々の研究室の新たな知見を発表したい。ラボHP https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.jp/主な研究領域ワクチン学、免疫学、微生物学、レギュラトリーサイエンス、グローバルヘルス主な著書監修:石井健、山西弘一「アジュバント開発研究の新展開」(シーエムシー出版)監修:石井健「次世代アジュバント開発のためのメカニズム解明と安全性評価」(シーエムシー出版)Ishii KJ and Akira S. (Editor) 「Nucleic Acids in Innate Immunity」(CRC press)Ishii KJ and Tang CK (Editor) 「Biological DNA Sensor: The Impact of Nucleic Acids on Diseases and Vaccinology」(ELSEVIER)6平成5年横浜市立大学医学部卒業。3年半の臨床経験を経て米国FDA・CBERにて7年間ワクチンの基礎研究、臨床試験審査を務める。平成15年帰国しJST・ERATO審良自然免疫プロジェクトのグループリーダー、大阪大学・微生物病研究所・准教授を経て、平成22年より平成30年まで医薬基盤健康栄養研究所アジュバント開発プロジェクトリーダー、ワクチンアジュバント研究センター長、平成22年より現在まで大阪大学・免疫学フロンテイア研究センター教授。平成27年より平成29年まで日本医療研究開発機構(AMED)に戦略推進部長として出向、平成29年より平成31年まで科学技術顧問を務める。平成31年より現職。東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ワクチン科学分野 教授イ井石 健コロナ禍で進むワクチン開発研究の破壊的イノベーション
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