長オ尾ミキ紀4ナガ ウイルス感染症の検査法には、大きく分けて①ウイルスそのものを検出する方法と②ウイルスに対するヒト側の免疫反応(主に抗体)を計測する方法がある。ウイルス感染症を診断するためには、基本的には前者の手段を用いるべきであるが、後者もその性質を理解したうえで用いれば、目的に応じた有用な検査となる。 ウイルスそのものを検出する手段としては,電子顕微鏡によるウイルスの直接的な観察と細胞培養によるウイルス分離同定が基本となるが、日常検査の一環として行うには技術や時間を要する。そこで臨床現場では、ウイルスの一部を検出するPCR法などの遺伝子検査や抗原検査が活用されている。また、ウイルス感染症に対するヒト側の生体反応をみる抗体検査法は、それぞれの抗体の体内動態を考慮の上、⑴ペア血清の測定による感染症診断、⑵ワクチン接種後に防御能がある抗体を獲得できているかを確認する場合に行われる。 COVID-19パンデミックにより、ウイルス検査が世間の耳目を集めることになった。本講演では、新型コロナウイルスをはじめとした代表的なウイルス感染症の検査の実際と、次なる新興感染症も念頭においた今後の展望についてお話したい。主な研究領域臨床検査医学、臨床微生物学、感染制御学1999年 名古屋大学医学部卒業 市中病院で臨床研修ののち呼吸器内科勤務2006年 京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部医員2009年 同助教2011年 同講師2015年 同准教授 2019年 現職京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学 教授 美臨床検査におけるウイルス検査法の実際
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