石ダ田9イシ 成人に呼吸器感染症を惹起するウイルス性疾患は数多くあるが、なかでもインフルエンザは、冬季に流行を起こす代表的な疾患である。2020年のCOVID-19のパンデミック以降、本邦でのインフルエンザ発症例の報告は激減しているが、亜熱帯地域では現在でも小流行がみられており、今後ウイルスが国内に持ち込まれると、大きな流行を起こす可能性がある。また、将来的に、鳥インフルエンザからの新型インフルエンザ発生も危惧されている。 インフルエンザは、自然寛解することも多い疾患であるが、高齢者や幼児、妊婦、基礎疾患を有する人では、罹患後の合併症のリスクが高い。一方、健康なリスクのない人でも、時に重症化することが認められる。ワクチンはインフルエンザ予防の基本であるが、ウイルスの型や年次により有効性に差がみられる。抗インフルエンザ薬は、症状の軽減と重症化予防に有用であり、罹患後早期に使用することが望ましい。本邦では、早期診断および早期治療の方針が普及しており、現在5種類の抗インフルエンザ薬が使用可能であり、治療の場や病態に応じて使い分けが行われる。主な研究領域呼吸器感染症主な著書「呼吸器診療スキルアップ」(CBR)編著「胸部画像診断:感染症を読む」(丸善出版)分担執筆「Influenza」(Springer)分担執筆「Aspiration pneumonia」(Springer)編著「呼吸器病レジデントマニュアル第6版」(医学書院)1984年 京都大学医学部卒業 京都大学胸部疾患研究所第1内科(現呼吸器内科)入局1985年 国立姫路病院内科赴任1988年 倉敷中央病院内科赴任1996年 京都大学医学博士取得2000年 同呼吸器内科主任部長2004年〜京都大学臨床教授2020年〜倉敷中央病院副院長兼呼吸器内科主任部長倉敷中央病院 呼吸器内科 主任部長/副院長タダシ 直成人の呼吸器ウイルス感染症~インフルエンザを中心に
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