第41回メディコピア教育講演シンポジウムがんゲノム医療の最前線オ小川シ司員授授6 近年シーケンス技術の革新を背景として、がんの網羅的な変異解析が行われた結果、今や殆どの頻度の高い癌種について、その発症に関わる主要な遺伝子異常が明らかにされている。これらは、チロシンキナーゼをはじめとする治療の分子標的に関連した異常や、予後予測や治療選択に関わる異常が含まれることから、それらを検出する臨床シーケンスが広くがん診療に導入されつつある。我が国においても、昨年6月に「他に治療手段のない固形腫瘍」を対象として、これらの患者の治療標的を同定するためのパネルシーケンスが承認されたことは記憶に新しい。一方、造血器腫瘍については、諸外国ですでに臨床シーケンスが利用可能となっているが、我が国においては、その実用化が著しく立ち後れているのが現状である。 本講演では、最近改訂された日本血液学会の造血器腫瘍遺伝子診療ガイドラインを紹介しつつ、造血器腫瘍を標的としたパネルシーケンスの可能性と必要な技術的背景について解説する。主な研究領域血液内科学、分子腫瘍学1988年 東京大学医学部医学科卒業1993年 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了1993年 東京大学大学医学部附属病院非常勤医1996年 日本学術振興会特別研究員1997年 東京大学医学部附属病院助手(第三内科)2002年 東京大学大学院医学系研究科客員助教2006年 東京大学大学院医学系研究科特任准教2013年〜現在 京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座教授2017年〜現在 カロリンスカ研究所客員教授ガワセイ京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学(病理学第二講座) 教授 誠造血器腫瘍を対象とする遺伝子パネル検査
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