第41回 がんゲノム医療の最前線
12/14

第41回メディコピア教育講演シンポジウムがんゲノム医療の最前線 2002年 東京大学医学部附属病院産科婦人科助 乳がんと婦人科がんでは、以下の特徴が挙げられる。 ① 主に女性に発症し、乳がんと子宮体がんはホルモン依存性がんとして知られている(男性でも乳がんは発症しうる)。 ② 遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC:Hereditary Breast and Ovarian Cancer)をはじめ、遺伝性腫瘍の頻度が高い。 HBOCは、BRCA1またはBRCA2が原因遺伝子であり、最も高頻度な遺伝性腫瘍である。BRCA遺伝子は二本鎖DNA切断の修復(相同組換修復)に関わっており、HBOCでは、高率に相同組換修復欠損(HRD:Homologous Recombination Deficiency)を伴う乳がん、卵巣がんを発症する(関連がんとして、前立腺がん、膵がんも知られている)。遺伝性乳がん、遺伝性卵巣がんともに、BRCA以外の遺伝子が原因となる場合があり、がん遺伝子パネル検査で同定されることも少なくない。HRDを伴うがんでは、PARP阻害剤やプラチナ製剤への感受性が高いことも知られている。BRCA遺伝子変異陽性の場合、乳がん、卵巣がんともに保険適用下にPARP阻害剤が使える場合があり、予後改善に寄与することが期待される。 本シンポジウムでは、乳がん、婦人科がんという切り口で、遺伝性腫瘍やがんへの治療展開について議論したい。主な研究領域婦人科がんの網羅的ゲノム解析、分子標的治療、バイオマーカー、トランスレーショナルリサーチ101994年 東京大学医学部医学科卒業 東京大学医学部附属病院産科婦人科入局1997年 東京大学医学系研究科生殖発達加齢医学専攻進学2001年 学位(医学博士)取得 東京大学医学部附属病院産科婦人科医員埼玉県立がんセンター婦人科2004年 カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校癌研究所留学2007年 東京大学医学部附属病院女性外科助教2013年 東京大学医学部附属病院女性外科講師2014年 東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座准教授2020年 東京大学大学院医学系研究科生体物理医学専攻医用生体工学講座統合ゲノム学教授東京大学医学部附属病院ゲノム診療部部長(併任)■■■■■■織田利手 東京大学大学院医学系研究科 生体物理医学専攻 医用生体工学講座 統合ゲノム学 教授 克乳がん・婦人科がん

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る