サ佐サ々キ木5 日本では慢性的に病理医が不足している。がんの最終診断には多くの場合、病理診断が必要でありそれを行うのが病理医であるが、病理専門医数は全国で約2,500名であり、400床を超える急性期病院706病院にあっても、224病院(31.7%)に常勤病理医が不在である(2017年医療動態調査、病理学会調査より)。また、病理医が常勤で勤務する病院でも、1人しか病理医がいない病院が約44%を占めるという深刻な人材不足に陥っている。その人材不足を補うために、AIによる病理診断支援プログラムの開発は注目を集めてきた。実際に研究段階では様々なプログラム開発、研究報告がなされており、実用段階にほぼ到達しているAIプログラムもあるものの、実際に診療の現場で活用する医療機器薬事承認を受けたAI病理診断支援プログラムはない(2019年9月時点)。日本病理学会ではAMEDの研究支援のもと全国規模のプラットフォームを構築し、病理組織デジタル画像の収集と、そのデジタル画像を用いて病理診断支援AIプログラムの開発を行っている。しかしながら、完成したAIプログラムを複数の施設で使用した際に、AIの正解率にばらつきがあるという問題が発生しており、現在引き続きプログラムの修正が必要となっている(他国のプログラムでも同様の問題が発生している)。病理診断分野におけるAIの活用と将来像について述べる。主な研究領域病理学、ゲノム病理学、遠隔病理診断、病理人工知能主な著書「コンパニオン診断のためのデータベースの構築と臨床応用」『プレシジョン・メディシン』2018年(㈱エヌ・ティー・エス)「ゲノム医療のための検体取り扱い講座」『乳癌の臨床』2018年(㈱篠原出版新社)「臨床検査アップデート 平成30年度診療報酬改定」『モダンメディア』Vol.64 2018年10月号(栄研化学㈱)1989年 秋田大学医学部医学科卒業 東京大学医学部病理学教室医員1997年 埼玉県小川赤十字病院診療部長2001年 茅ケ崎市立病院臨床検査科科長2006年 横浜市立大学附属市民総合医療センター病理部准教授2013年 東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野准教授2014年 東京大学医学部附属病院病理部副部長 同 ゲノム病理標準化センター/同 地域連携推進・遠隔病理診断センター センター長2018年 東京大学大学院医学系研究科次世代病理情報連携学講座特任教授タケシ東京大学大学院医学系研究科 次世代病理情報連携学講座 特任教授 毅病理診断
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