ディープラーニング(DL)技術と高速度コンピューター(GPU)、そして大量のデジタル化されたデーターの組み合わせにより、第4次産業革命とも称される人工知能(AI)革命が進んでいる。 AIが人間の画像診断能力を上回ったことにより、医療分野では画像診断支援でAIの実用化に向けた動きが最も進んでいる。特に消化器内視鏡分野で、日本の内視鏡医師が世界初の成果を発表している。2017年10月に大阪国際がんセンターの七條らが、ピロリ菌胃炎の診断において、AIが人間医師の平均を上回ったことを発表したことを皮切りに、2018年1月にがん研有明病院の平澤らが、AIが6mm以上の胃がんの拾い上げを98.6%で可能であることを発表した。また、2019年3月に大腸内視鏡検査における腫瘍性と非腫瘍性のポリープを推測する超拡大内視鏡専用ソフトウェア「EndoBRAIN」が、日本国内で販売開始されている。 DLを用いた内視鏡AIは病変拾い上げと病変鑑別を行うことができる。この組み合わせにより、「内視鏡検査時のがんの見逃し率減少」と「医師の画像読影負担減少」が可能である。今後は「医師の書類作成負荷軽減」、「内視鏡検査時の負担軽減」、「内視鏡治療方針決定支援」などへの応用が期待される。 2018年12月の厚生労働省通知の通り、AIは診断支援ツールであり、医師が確定診断を下すという立場は今後も変わらない。それでも、AIは医師にとって有用なアシスタントであり、今後AIを使う医師と使いこなせない医師では大きな差がついていくと思われる。主な研究領域消化管内視鏡用AI開発主な著書『行列のできる 患者に優しい“無痛”大腸内視鏡挿入法』など著書複数。1996年 東京大学医学部医学科卒業2005年 東京大学大学院外科学専攻卒業1996年 東京大学医学部附属病院外科1997年 国家公務員共済組合虎ノ門病院麻酔科1999年 東京都教職員互助会三楽病院外科2001年 東京大学医学部附属病院大腸肛門外科2005年 東葛辻仲病院外科2006年 武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科院長2012年 東京大学医学部附属病院大腸肛門外科学講座非常勤講師2017年 AI Medical Service Inc. CEOトモ医療法人 ただともひろ胃腸科肛門科 理事長 AI Medical Service Inc. CEOヒロ裕 智多田タダ4消化器内視鏡検査に おけるAIの活用
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