第40回 医療におけるAIの役割と未来
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永イ井三3 1983年 University of Vermont, Department of Physiology and Biophysics (Professor Norman Alpert), Visiting Assistant Professor主な研究領域内科学、循環器病学、転写因子KLF5の循環・代謝・発癌制御機構、臨床データのビッグデータ収集、症例報告のビッグデータ化主な著書「医と知の航海」(西村書店)「医学生とその時代(中央公論新社)「臓器円環による生体恒常性のダイナミクス〜神経・免疫・循環・内分泌系の連関による維持、ライフステージに応じた変容と破綻」(実験医学増刊 Vol. 31-5、2013)「ビッグデータ 変革する生命科学・医療〜激増するオミクスデータ・医療データとどう向き合い、どう活用すべきか?」(実験医学増刊 Vol.34 No.5、2016) 多彩な医学研究を貫く重要な課題は、細胞や分子などの要素に還元しつつ、生体の恒常性と病態をシステムとして理解することである。近年の分析技術と情報科学の進歩により、要素研究とシステム研究を結びつけることが可能となり、さらに診断や治療法の開発に発展させる応用研究も盛んに進められている。しかしながら医学における要素研究の最終評価は、患者が受けるメリットとデメリットのバランスである。このため世界的に臨床現場のデータをシステム化し、研究や教育に活用する研究を推進する重要性が近年高まってきた。一方、我が国では情報研究を推進する精神風土も体制も醸成されておらず、情報化時代の研究に大きく後れを取った。 演者は、医療データに関する研究ではいくつかの大規模臨床試験、診療情報のデータベース化、症例報告を用いた診断支援AIシステム、大学病院の異なる電子カルテ情報と異なる心臓カテーテルレポートを標準化して収集するシステム(CLIDAS)の開発を行ってきた。講演では、臨床現場のデータの重要性と活用法の意義について、我が国の医学研究の歴史を踏まえて紹介する。1974年 東京大学医学部医学科卒業1975年 東京大学医学部附属病院内科研修医1977年 東京女子医大附属日本心臓血圧研究所研修生東京大学医学部附属病院第三内科医員1988年 東京大学医学部附属病院検査部講師1991年 東京大学医学部第三内科講師1993年 東京大学医学部第三内科助教授1995年 群馬大学医学部第二内科教授1996年 群馬大学医学部附属病院医療情報部長1998年 東京医科歯科大学難治疾患研究所客員教授1999年 群馬大学医学部附属病院臨床試験部長東京大学大学院医学系研究科内科学専 攻循環器内科教授2001年 東京大学医学部附属病院副院長2003年 東京大学医学部附属病院長2009年 東京大学ハラスメント相談所長 東京大学トランスレーショナルリサーチ機構長2012年 東京大学客員教授2012年〜現在 自治医科大学学長東京大学名誉教授科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST「生体恒常性維持・変容・破綻機構のネットワーク的理解に基づく最適医療実現のための技術創出」研究総括2014年〜現在 2019年〜現在 科学技術振興機構上席フェロー宮内庁皇室医務主管ナガリョウゾウ自治医科大学 学長 良診療情報の ビッグデータ化と活用

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