第39回 変わりつつあるアレルギー疾患の考え方
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 アレルギー性鼻炎は好発時期から通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に大別される。多くの症例で原因となるアレルゲンの同定がある程度可能であり、通年性アレルギー性鼻炎ではダニが主な原因となり、季節性アレルギー性鼻炎では原因のほとんどが花粉であるため花粉症ともいわれる。花粉症の原因花粉として多くが知られているが、特に国内ではスギやヒノキといった樹木花粉が原因となることが多い。全国の疫学調査からは全国民のアレルギー性鼻炎の罹患率は40%を越えており、依然として患者数は増加している。決して直接死に至る疾患ではないが、患者のQOLに強い障害がみられ、社会的経済学的な損失が非常に大きいことが指摘されている。アレルギー性鼻炎の治療には原因アレルゲンの回避と対症療法としての薬物治療が広く行われているが、一方で、症状が自然に改善することは簡単には見られず、特に小児では多くは改善がないままに成人に移行している。 近年、アレルゲン免疫療法(減感作療法)の中でも、特に重篤な副作用が少なく自宅で投与が可能な舌下免疫療法が登場し注目されている。現在のところ、唯一アレルギー性鼻炎の自然経過を改善し、新規のアレルゲン感作や喘息など他のアレルギー疾患の発症の予防効果があることが示唆されている。薬物療法、免疫療法も含めて最新のアレルギー性鼻炎の治療の現状を概説する。主な研究領域耳鼻咽喉科学、特に頭頸部腫瘍の治療、上気道の免疫・アレルギー主な著書「今日の治療指針」(朝倉書店)「内科学」(朝倉書店)「鼻アレルギー診療ガイドライン」「ダニアレルギー免疫療法の手引き」「スギ花粉症の免疫療法の手引き」「NHKきょうの健康」など111979年 秋田大学医学部卒業1985年 秋田大学大学院医学研究科卒業 ニューヨーク州立大学バッファロー校留学、リサーチフェローとして粘膜免疫学研究1988年 秋田大学耳鼻咽喉科助手1990年 秋田大学医学部耳鼻咽喉科講師1996年 山梨医科大学耳鼻咽喉科教授2002年〜現在 千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教授2010年〜現在 千葉大学医学部附属病院未来開拓センター長併任2011年〜2017年 2014年〜2017年 千葉大学医学部附属病院副病院長併任千葉大学教育・研究評議員併任オカモトタカ千葉大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 教授ヨシ 美岡本孝アレルギー性鼻炎・花粉症

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