大タ9 喘息の多様性が近年とくに強調され、喘息は症候群として捉えるべき疾患であるという意見が主流となっている。喘息治療については、わが国のガイドライン(JGL)の内容が推奨されているが、喘息患者の実態調査では、8割前後で何らかの症状を経験しているという報告がある。その背景には、重症で治療に抵抗する場合だけではなく、治療アドヒアランスの不良、不適切な吸入手技、疾患の理解不足などがあり、患者の状態に合わせた個別化治療の確立が必要だと考えられる。つまり、必ずしも分子レベルでのエンドタイプを介した個別化ではなく、コントロール状態、喘息に影響する合併症や修飾因子の存在、生活習慣、年齢と身体機能、理解力などをまずは考慮して、適切な長期管理を患者さんごとに選択し実行することを含んでいる。そしてこのような治療への介入は、すべての症例において現状の医療レベルで実行可能な個別化である。また、通常の治療薬でコントロールできない難治性喘息では、最新の研究成果による喘息の病態分析により、生物製剤の適応を考慮し選択する狭義の個別化が実行される。喘息の治癒には届かないが、喘息死ゼロを目標に喘息の克服に向かって歩みを続けている。主な研究領域内科、呼吸器病学 (とくに喘息、COPD、間質性肺炎、結核を含む呼吸器感染症)、アレルギー学、臨床免疫学主な著書「今日の処方」(南江堂)「臨床診断 ホップ ステップ ジャンプ」(南江堂)「今日の診断基準」(南江堂)「今日の治療と看護」(南江堂)「呼吸器専門医テキスト」(南江堂)「気管支喘息治療の新たなストラテジー」(先端医学社)「気管支喘息のすべて」(文光堂)共著「TBX4 is involved in the super-enhancer-driven transcriptional programs underlying features specific to lung fibroblasts.」(Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 314 (1): L177-L191, 2018)「Fractional exhaled nitric oxide as a predictor of response to inhaled corticosteroids in patients with non-specific respiratory symptoms and insignificant bronchodilator reversibility: a randomised controlled trial.」(The Lancet Respiratory Medicine 6 (1): 29-39, 2018)など1975年 東京大学医学部医学科卒業 1977年 東京大学医学部附属病院物療内科非常ECFMG合格勤医員1980年 米国コロラド大学医学部、ナショナルジュイッシュ免疫呼吸器研究センター内科留学(Research Fellow)1983年 東京大学医学部附属病院物療内科文部教官助手1986年 国立病院医療センター厚生技官(呼吸器科)出向1988年 米国コロラド大学医学部、ナショナルジュイッシュ免疫呼吸器研究センター内科留学 (Senior Research Fellow)1991年 聖マリアンナ医科大学臨床検査医学教室講師1992年 帝京大学医学部第二内科学教室助教授1997年 帝京大学医学部内科学講座呼吸器・ アレルギー学教授2012年 独立行政法人国立病院機構東京病院院長2013年 東京医療保健大学大学院看護学研究科臨床教授(2017年度まで)2018年 独立行政法人国立病院機構東京病院名誉院長/シニアフロンティアドクター公益財団法人結核予防会複十字病院院長公益財団法人結核予防会理事現在に至るオオケン公益財団法人結核予防会 複十字病院 院長独立行政法人 国立病院機構 田東京病院 名誉院長 健喘息の克服に向けて
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