「糖尿病は検査の病気」と言われている。 糖尿病はインスリン分泌の低下や作用障害(インスリン抵抗性)のために血糖値が上昇する病気で、自覚症状が乏しく、放置したまま病状が進んで合併症を招くことも希ではない。しかし、定期的な血糖コントロールチェックを行い、合併症の早期発見を心がけることで、健常者と変わりない生活を送ることが可能である。これが「検査の病気」と言われる所以で、糖尿病診療は臨床検査なしにはあり得ない。 糖尿病の検査は①診断のための検査、②病型鑑別のための検査、③コントロール状態評価のための検査、④合併症早期発見のための検査、に分類できる。血糖コントロール検査として血糖、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、グリコアルブミン(GA)、1.5-AGなどがある。これらの検査はそれぞれに特徴をもち、患者さんの病態背景や治療背景を考慮して適宜測定されている。近年、食後高血糖, 血糖値の日内変動が合併症と関連していることが報告され、これらの管理のための検査が注目されている。持続血糖モニター(CGM)は専用のセンサーをお腹などに貼り、持続的に血糖測定を実施して日内変動を観察する装置で、2010年から保険適用された。さらに最近、CGMとインスリンポンプが連動する新たな機器がFDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を得た。今後、我が国にも登場し、糖尿病患者さんのQOL向上に貢献するツールとなることを期待したい。主な研究領域臨床検査学、臨床化学、臨床免疫学、臨床検査標準化主な著書「標準臨床検査学」(医学書院)「糖尿病関連指標検査」(プラクティス)「検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー(PSA)」(臨床検査:医学書院)「非特異反応−イムノアッセイのピットフォール」(検査と技術:医学書院)41970年 東京理科大学薬学部卒業 慶應義塾大学病院中央臨床検査部入職1991年 慶應義塾大学病院中央臨床検査部免疫血清部門主任2000年 慶應義塾大学病院中央臨床検査部課長2013年 医療法人社団誠馨会 新東京病院臨床検査室部長医療法人社団 誠馨会 新東京病院 臨床検査室 部長イシバシ橋石 みどり糖尿病の検査─いまとこれから─
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