第36回 がん診療はこう変わった
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 ママチャリで日本縦断してしまうほど健康そのものだった学生時代を経て、元気を売りにしてテレビ局に入社。そんな私が24歳の春、シャワーを浴びている時に右胸にしこりを見つけました。自分にもわかる速さで大きくなっていくしこり。「まさか」という思いを否定してもらいたくて受けた検診の結果、5センチもの乳がんが発覚しました。 報道記者としての仕事もプライベートも充実していた日々が突然分断され、なによりもつらかったのは、当たり前にくると思っていた未来が一切思い描けなくなったこと。闘病中は不幸のどん底気分で何度も死ぬことを思い、もがき苦しみました。そんな中で生きる原動力となったのは、あるひとつの思いでした。 「もし元気になれる日がきたら、がんになっても幸せを感じられる社会をつくりたい—」 幸い再発転移なく7年の月日が流れ、あの時の思いを私なりに具現化すべく、記者として、NPO法人の共同代表として、日々奔走しています。今全力をあげて取り組んでいるのは、その存在を知った瞬間に「闘病中にこれがあったら良かった!」とピンときた、英国発祥のがん患者さんとご家族のための「マギーズセンター」を東京にオープンさせること。実は、講演の翌日2016年1月11日に、江東区・豊洲エリアにパイロットプロジェクトとして「マギーズ東京」を着工予定です。 若くしてがんになるということは不幸なことに思えるかもしれません。でも、がんになったおかげで得た夢を実現すべく、多くの方々に支えながら前進している今、私は本当に幸せです。主な作品2010年「伝えたい…24歳のわたしへ〜がんが教えてくれたこと」2015年「Cancer gift(キャンサーギフト)がんって不幸ですか?」※ドキュメンタリー番組(日本テレビ)略  歴1983年10月生まれ。2006年慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、日本テレビ入社、報道記者。2008年、24歳の時に乳がんが見つかり、8ヶ月間休職。復職後、社外活動として、がん患者を応援する活動を継続。2009年若年性がん患者団体STAND UP!!発足。2014年英国発のがん患者と支える人たちのための施設maggie's centresを東京につくるmaggie's tokyo projectを立ち上げ、同年11月クラウドファンディングで1100人から2200万円の支援を集める。2015年4月NPO法人化、2016年夏、江東区豊洲エリアにオープン予定。日本テレビでは、厚生労働省の担当記者をしながら、自身の目線で描いたがんのドキュメンタリー等、がんに関する特集や番組を多数制作。スズ日本テレビ記者/NPO法人maggie's tokyo共同代表ホ穂 美木鈴キミ6特別発言がんになっても幸せを感じられる社会に

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