第36回 がん診療はこう変わった
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大ヤ屋敷マ馬5 最近の新規薬剤、特に分子標的薬剤の開発により、がん治療は大きな進歩がみられている。分子標的薬剤の導入はさらにがんの分子病態の解明をもたらしつつある。すなわち従来の病理学的診断分類から分子病態の理解へと進み、分子異常を的確に判断し、診断に用いることで適切な分子標的治療薬の選択が行われつつある。さらに、分子異常の解明はがん細胞の薬剤感受性や抵抗性を把握するにとどまらず、個人の薬剤に対する反応性や副作用発現の状態を把握することにも重要な情報をもたらしつつある。すなわち、個別化医療では医薬品と対応する診断薬の開発の推進が求められ、医薬品と診断薬双方の開発の連携が進められている。この個別化医療を可能にする診断薬がコンパニオン診断薬である。適切な患者さんに適切な医薬品を提供し、分子標的療法の力を最大限に引き出しつつ副作用を最小限にするための診断手法として注目を集めている。 本講演では、がんの分子標的療法の実際と今後の問題点を概説する。主な研究領域血液内科領域、特に白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖腫瘍における染色体および遺伝子異常主な著書「血液内科学」(丸善出版)「リンパ腫症例ノート」(日本医学館)1978年 東京医科大学卒業 東京医科大学内科学第3講座入局(大学院)1979年 東京医科歯科大学、難治疾患研究所・細胞遺伝部門研修生1984年 アメリカ合衆国Roswell Park Memorial Institute勤務1987年 東京医科大学内科学第1講座講師1999年 東京医科大学内科学第1講座主任教授2014年 東京医科大学血液内科学分野主任教授(分野名変更)オオシキカズ 一東京医科大学病院 血液内科主任教授・診療科長コンパニオン診断に基づくがんの分子標的療法

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