第36回 がん診療はこう変わった
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南 3 近年、CT・MRI・超音波・核医学検査等の急速かつ高度な進歩により、がん診療において画像診断はなくてはならないものとなっている。またその画像はデジタル化されており、容易に保存・参照されるだけではなく、異なる検査の画像を重ね合わせたり、三次元処理を加え新たな情報を引き出したりすることも可能となっている。画像診断の目的には、治療前のがんの存在診断(スクリーニング)、由来診断、鑑別診断、病期診断、解剖学的マッピング、機能診断、予後判定に加え、治療後の効果判定、合併症診断、経過観察(再発診断)などがあるが、残念ながら一つの検査でそれらをすべてカバーすることはできない。従ってその検査目的により種々の装置・検査方法を効率的に使い分ける必要がある。また、画像から情報を引き出す読影においても偽陰性・偽陽性を減らし、できる限り均一化された診断精度の情報を引き出し、それを迅速に依頼医に届け、患者さんの診療に役立てられるような病院システムを構築する必要がある。さらに画像ガイド下で病変の生検を行ったり、経血管的・経管腔的・経皮的に低侵襲でがんの治療を行ったりすることも可能となっている。 本講演では、肝臓がん・肺がんを中心として、これらの現況をできる限りわかりやすく述べたい。主な研究領域放射線診断一般、特に胸部・腹部、骨軟部腫瘍主な著書「マンモグラフィ読影アトラス」(メディカル・サイエンス・インターショナル)「所見から考える画像鑑別診断ガイド」(メディカル・サイエンス・インターショナル)共著「画像診断を考える:よりよい診断のために。第2版」(秀潤社)「画像診断シークレット」(メディカル・サイエンス・インターショナル)「フィルムリーディング、腹部(大友 邦編)」(医学書院)1983年 東京大学医学部医学科卒業、医師国家試験合格東京大学医学部附属病院放射線科研修医1984年 東京大学医学部附属病院放射線科助手1985年 米国医師国家試験合格資格取得1986年 米国ウィスコンシン医科大学放射線診断部短期研修1994年 米国テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター放射線診断部クリニカルフェローその後、東京大学講師、助教授、東京大学医科学研究所助教授・科長を経て、2004年 筑波大学医学医療系臨床医学域放射線医学教授ミナミ筑波大学 臨床医学域 放射線診断 教授マナブ  学画像診断の進歩:PET/CTも含めて

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