第36回 がん診療はこう変わった
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有ガ賀コ子 2007年がん対策推進基本計画では、緩和ケアは終末期医療からの脱却として「早期からの」、「診断時からの」緩和ケアを掲げた。そして、2017年6月終了し、がん対策加速化プランへと切り替わる。その新たなプランの中で、3本柱の一つ「がんと共に生きる」は就労や緩和ケアを含む地域完結型のがん医療・介護の推進をその内容とする。その根底にあるものは、高齢化によるがん多死時代、治療の進歩による長期生存を支える共生–療養生活の質の維持向上である。がん死亡率の上昇は、高齢化によるものと報告されており、緩和ケアのタスクには痛みなどの症状緩和に加え、Advance care planning(将来のケアについて話し合うこと)が求められるようになった。Shared decision making(共に決めていく)姿勢を基本とした意思決定支援のあり方について解説したい。主な研究領域緩和医療学主な著書「がん疼痛緩和(単著)」(日本放射線技師会出版会)「緩和ケア55 –緩和ケアチーム コンサルテーションの実際–(単著)」(篠原出版新社)「がん緩和医療.入門腫瘍内科学 改訂第2版」(篠原出版新社)「がんの症状対策.研修ノートシリーズ 産婦人科ノート 改定第2版」(診断と治療社)「血液透析.やめどきについて悩む場面.緩和ケア」(青海社)「緩和医療学–日本緩和医療学会」(南江堂)「終末期における専門医の役割と育成.医療白書2012」(日本医療企画)111987年 筑波大学医学専門学群卒後、東京女子医科大学腎臓外科入局1993年 アメリカ ミシガン大学腫瘍外科リサーチフェローがん遺伝子治療・免疫療法の研究に従事。同時に、アーバーホスピスにて在宅ホスピスケア研修1996年 国立がんセンター東病院緩和ケア病棟1999年 東京女子医科大学在宅医療・緩和医療学講師2003年 国立国際医療研究センター緩和ケア科医長2008年 帝京大学医学部内科学講座(緩和医療)准教授、教授を経て、2013年 帝京大学医学部緩和医療学講座教授・診療科長アルエツ 悦帝京大学医学部 緩和医療学講座教授・診療科長緩和医療のこれから

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