第36回 がん診療はこう変わった
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 大腸がんに対しては、より体への負担が少ない手術として腹腔鏡手術が1990年代から行われるようになった。腹腔鏡手術は、開腹手術と比較して傷が小さく、出血量が少ないなどの利点があるとされている。腹腔鏡手術は、その後普及が進み、現在では全国で広く行われている。しかし、腹腔鏡手術にも、手術に用いる鉗子の動きや操作性など、改善が期待されている点も存在する。こうした点を改善する手技として、近年ロボット手術が期待されている。ロボット手術では、手ぶれ防止機構や多関節の鉗子を用いるため腹腔鏡手術よりも精緻で安定した手術ができる可能性があり、特に狭い骨盤内での操作が必要な直腸がんに対してはロボット手術の有用性が期待されている。しかし、現在ロボット手術は保険償還されておらず、大腸がんに対する手術として広く普及はしていない。これらの点を含めて、現在の大腸がんに対する低侵襲手術である腹腔鏡手術とロボット手術について概説する。主な研究領域消化器外科、大腸肛門病学主な著書「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2010年版」(金原出版)「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2014年版」(金原出版)「遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2012年版」(金原出版)「クローン病診療ガイドライン」(南光堂)「大腸ポリープ診療ガイドライン2014」(南光堂)1985年 東京大学医学部医学科卒業 東京大学医学部附属病院第一外科研修医1989年 東京大学医学部附属病院第一外科医員1993年 国立がんセンター中央病院大腸外科チーフレジデント1994年 東京大学医学部附属病院第一外科助手1995年 Johns Hopkins大学留学1997年 東京大学医学部腫瘍外科助手1998年 東京大学医学部腫瘍外科講師1999年 東京大学医学部腫瘍外科助教授2006年 帝京大学医学部外科教授2011年 帝京大学医学部外科主任教授2012年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科教2013年 東京大学医学部附属病院副病院長ワタナベトシアキ 聡渡邉明授9東京大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 血管外科学 教授大腸がんに対する腹腔鏡手術、ロボット手術

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