第35回 転換期の高齢者医療
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辻オ夫授3 世界に例のない超高齢化が日本で進行している。 当面、急速に進む後期高齢者の急増への対応は、高齢化最前線国日本の試金石である。そのあるべき方向は、生活習慣病の予防と虚弱化の予防をまず進めるとともに、長生きの結果として虚弱な状態を経て死に至るということが普通になる中で、生きていてよかったと安心して地域の中で生き切れる、次なる社会システムを作ることである。 とりわけ今後の医療は、治すことを主眼としてきた「病院医療」に加えて、「在宅医療を含む地域包括ケア」の展開が大きな課題となっている。 柏プロジェクトでは、柏市、柏市医師会等が中心となって、地域のかかりつけ医が在宅医療に合理的な形で取り組めるようにするため研修や他職種連携のシステム化等の様々な実践を行う一方、高齢化最前線ともいえるUR豊四季台団地で、地域包括ケアを目指す典型的なモデルシステムの導入に取り組んでいる。 2025年という我が国の転換期を控えて残された時間は少ない。 市町村、地区医師会をはじめ関係者の前向きの姿勢を時代が求めている。主な研究領域社会保障政策、高齢者ケア政策主な著書「日本の医療制度改革がめざすもの」(時事通信社)「超高齢社会 日本の挑戦」(時評社)「地域包括ケアのすすめ 在宅医療推進のための多職種連携の試み」(東京大学出版会)など1971年 東京大学法学部卒業 厚生省(当時)入省1988年 厚生省社会局老人福祉課長1990年 厚生省保険局国民健康保険課長1998年 厚生省大臣官房審議官(医療保険、健康政策担当)2002年 厚生労働省大臣官房官房長2003年 厚生労働省保健局保険局長2006年 厚生労働省事務次官2008年 田園調布学園大学教授2009年 東京大学高齢社会総合研究機構教授2011年 東京大学高齢社会総合研究機構特任教ツジ東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授テツ 哲超高齢社会における医療の課題と展望

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