第35回 転換期の高齢者医療
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藤ト人  ロコモティブシンドロームは運動器の障害により移動が困難になった状態であり、ADL、QOLの低下をきたす。高齢者社会の日本では運動器疾患が要介護、要支援の大きな割合を占めていることから、健康寿命を延伸させるためにはロコモの認識を高め、社会をあげて取り組むことである。なかでも骨粗鬆症は高齢者に多く、骨が脆弱となり、軽微な外力で骨折に至るものである。骨折のリスクとして「高齢であること、骨量が少ないこと、既存骨折、家族歴、ビタミンD不足」などがある。 治療と予防の戦略としては、以下があげられる。1)骨折の実態を知る。特に骨折危険因子の評価を行う。2)骨折連鎖を断つとの視点で骨折高リスク者に焦点を絞った対策から始める。3) 治療と予防は継続が重要であり、そのためには医師のみならずメディカルスタッフ、行政も含めた多職種連携システムが必要である。リエゾンサービスなどを活用することは有用であろう。主な研究領域骨粗鬆症、股関節学主な著書「人工関節置換術―最新の知見(別冊整形外科)」(南江堂)「骨粗鬆症のすべて」(南江堂)111980年 新潟大学医学部卒業 1987年 新潟大学大学院修了 1989年 新潟大学医学部附属病院整形外科1990年 米国メルク社 postdoctoral scientist、Department of Bone Biology and Osteoporosis, Merck Research Laboratories, West Point, PA, USA(directed by Gideon A Rodan M.D., Ph.D.)1992年12月まで新潟大学医学部附属病院整形外科医学博士(院525号)新潟県立十日町病院整形外科(医長)1993年 新潟大学医学部附属病院整形外科新潟大学医学部附属病院助手 1999年 新潟大学医学部附属病院講師 2010年 新潟大学医歯学総合病院副院長、地域保健医療推進部長、総合リビリテーション部長新潟大学医学部教授ドウナオ新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座 エン遠整形外科学分野 教授 直骨粗鬆症:転倒・骨折とロコモティブシンドローム

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