第34回 栄養と食欲
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ヤ哉師4 人生を楽しむために必要不可欠な行動は、快眠、快食、快便だと言われている。その中でも特に快食・快便はきわめて重要だと思われる。しかし、このことを理解するためには消化管運動がなんたるかを学習しなければならない。最近、機能性ディスペプシアという病名が消化器の分野で追加された。この疾患は、特に潰瘍や癌があるわけでもないのに、腹痛や早期満腹感を生じ、生活に支障を来す病気である。以前からこの病気については消化管運動の遅延、特に胃排出時間が研究され、実際の患者の36.7%に異常が認められたことが報告されている。しかし、これをどう考えるかは微妙な問題である。しかも、胃排出時間の遅延が改善しても症状が改善するかどうかも微妙である。この場合に消化管運動賦活薬が用いられることが多いようだが、効果が出る場合とそうでもない場合が存在する。最近の話題では胃内に存在するグレリンという物質は食欲も増加させるし、消化管の運動も亢進させる。また漢方で使われる六君子湯もグレリンを増加させ、消化管運動も亢進させるようである。 このような様々な話を消化管運動と食欲という点から考えていこうと思う。主な研究領域上・下部消化管、小腸、肝臓、胆道、膵臓主な著書「上部消化管疾患を探る」(永井書店)「ポケット消化器内視鏡マニュアル」(中外医学社)「一目でわかる消化器病学」(メディカルサイエンスインターナショナル)「サイトプロテクション」(癌と化学療法社)共著「消化器病シークレット」(メディカルサイエンスインターナショナル)1978年 東京大学医学部卒業1978年 東京大学医学部附属病院研修医1980年 東京大学医学部第4内科医員1982年 東京大学医学部付属病院第四内科助手1991年 東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師1997年 東京大学医学部旧第四(分院)内科講2001年 東海大学医学部医学科内科学系消化器内科学教授2005年 東海大学医学部消化器(第4診療)センター長(併任)2013年 東海大学医学部医学科内科学系消化器内科領域主任教授(役職名変更)テツ東海大学医学部 内科学系 消化器内科領域主任教授ミネ峯 徹消化管運動と食欲

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