食べたい物が欲しい時に手に入る豊かな時代になり、肥満による健康問題が増加している。近年、肥満は欧米のみならず、中国などのアジア諸国でも急増しており、日本もその例外ではない。日本人の成人肥満の割合は約30%で、最近30年間の推移をみても、成人男性で増え続けている。日本人では、欧米に比して、BMIが低値であっても2型糖尿病をはじめとする健康障害を来しやすく、健康を支える上で肥満対策は緊急の課題となっている。さらに日本人の成人ではBMI35以上の高度肥満は、0.2〜0.3%と欧米に比べると少ないと言われているが、男子大学生を対象とした調査では0.3〜0.66%との報告もあり、体重が100kgを超えている人も珍しくなくなってきており、高度肥満治療の確立も重要な課題となっている。 肥満に伴う健康障害は多彩であるが、減量により多くのものは改善もしくは治癒することは論をまたない。しかし、その一見単純な減量および減量後の体重持続は極めて困難を伴うこともまた事実である。肥満治療は大きく、内科的治療と外科的治療に分けられる。当院では、長年にわたり内科的治療を中心に肥満治療を行ってきた。それらの取組に関して報告するとともに、近年の我が国でも実施例が増している外科的治療に関しても触れてみたい。主な研究領域内科、内分泌代謝、動脈硬化主な著書編集「(新・食事療法シリーズ)肥満、やせの食事療法」(同文書院)分担執筆「医学書院医学大辞典」(医学書院)「EBM内科処方指針」(中外医学社)「メタボリックシンドロームと循環器合併症」(中外医学社)「脂質異常症―慢性疾患薬物療法のツボ」(日本医事新報社)「内分泌代謝専門医ガイドブック 改訂第3版」(診断と治療社)1979年 旭川医科大学卒業1979年 東京逓信病院内科研修医1981年 東京逓信病院内科勤務1990年 医学博士(東京大学)1990年 University of Kentucky(Lexington, USA)留学1991年 University of Washington(Seattle, USA)留学1999年 北京医科大学第八医学院客員教授2002年 東京医科歯科大学医学部非常勤講師2005年 東京医科歯科大学医学部臨床教授2012年 東京逓信病院内科部長カワムラミツノブ東京逓信病院 内科部長 光川村信9過栄養の治療
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