第33回 肝臓の病気
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泉キ木7イズミナミ わが国では、B型とC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎が大半を占め、肝細胞癌の重要な成因となっている。B型肝炎では肝硬変や肝癌への進行を防ぐために核酸アナログ内服が行われるが、その適応の判定を決めることが重要な課題となっている。HBs抗原量が肝発癌に関連することが判明し、HBs抗原消失をめざした治療が進展している。また、免疫抑制療法を行う場合のHBの再活性化も重要な課題である。C型肝炎ではウイルス増殖に対する分子標的治療薬が急速に発展し、ペグインターフェロンとリバビリンとの併用によって高いウイルス排除率が得られている。治療効果に関与する宿主遺伝子多型(SNP)が明らかになり、副作用に関連するSNPも発見された。これらを組み合わせて治療効果を予測できる。さらに経口内服薬のみでの治療の開発が進み、数年後にはインターフェロンなしで内服薬のみで治癒が得られる可能性がでてきている。肝細胞癌を防止する対策が急速な進展をみせている。主な研究領域B型C型慢性肝炎の診断と治療、肝癌の診断と治療主な著書「専門医が答える肝臓病何でもQアンドA」「肝臓病ゴールデンハンドブック」(南江堂)共著「内科学書」(中山書店)1978年 東京医科歯科大学医学部卒業 東京医科歯科大学第二内科(武内重五郎教授)入局1986年 武蔵野赤十字病院内科副部長2001年 同消化器科部長2004年 近畿大学医学部客員教授併任2006年 東京医科歯科大学臨床教授併任2007年 山梨大学医学部非常勤講師併任2008年 武蔵野赤十字病院副院長日本赤十字社 武蔵野赤十字病院 副院長消化器科 部長 並慢性肝炎の診療

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