第33回 肝臓の病気
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池ダ田手4 2007年 東京大学大学院医学系研究科臨床病態イケヒトシ 肝臓に変化が起こると、血液検査によって、それを知ることができることが多い。肝臓は、生きていく上で必要なものを作る、あるいは不要となったものを解毒して排泄するなど、多岐にわたり重要な働きを担っている。そして、その変化は、しばしば血液中に含まれる物質の変化として捉えることができる。例えば、肝臓の細胞に、たくさん含まれているAST(GOT)、ALT(GPT)は、その細胞が障害を受け破壊されると、細胞の外に流れ出てくることにより血液中で量が増える。このため、血液中のAST(GOT)、ALT(GPT)の増加により肝臓の障害を知ることができる。しかしながら、AST(GOT)、ALT(GPT)の「源」は必ずしも肝臓ばかりではなく、他の臓器の障害によって血液中での量が増えることもある。すなわち、肝臓の異常を知るためには、血液検査は必要不可欠であるが、やはり欠点もあり、その効用と限界を知ることが大事である。 本講演では、肝臓の変化を知ることができる血液検査項目について概説し、その効用と限界についてもご紹介したい。また、最近、我々が見出した新たな肝の血液検査について、その発見のプロセス(苦労話)についてご紹介できればと思っている。主な研究領域臨床検査医学、消化器病学、肝臓病学主な著書編著「臨床検査値判読ハンドブック」「臨床検査法提要」「今日の臨床検査」「消化器内科レジデントマニュアル」1983年 東京大学医学部医学科卒業 1986年 東京大学医学部附属病院第一内科医員1989年 米国コネチカット州立大学リサーチ東京大学医学部附属病院研修医フェロー1993年 宮内庁侍従職侍医1996年 東京大学医学部附属病院第一内科助手1998年 東京大学医学部附属病院消化器内科助2002年 東京大学医学部附属病院消化器内科医局長2004年 東京大学医学部附属病院検査部講師2005年 東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学助教授同医学部附属病院検査部副部長検査医学准教授 均東京大学大学院医学系研究科 臨床病態検査医学 准教授肝の血液検査

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