第33回 肝臓の病気
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市ダ文手8イチタカフミ 肝細胞癌の原因はある程度分かっており、大まかに言うと、70%程度がC型肝炎ウイルスの長期感染、16%程度がB型肝炎ウイルスの感染、そして残りがアルコールや脂肪性肝炎など肝炎ウイルス以外の病気で、肝硬変に進展した病態と原因は比較的わかりやすく、このことはB型肝炎やC型肝炎、さらには肝硬変の病態から肝細胞癌が見出されることになる。したがって、肝細胞癌の早期発見はこのような病気、病態の方を定期的に血液検査で腫瘍マーカー(AFPとPIVKAII)の検索をおこない、超音波検査などの画像診断で比較的小さな肝細胞癌を早期に発見することができる。 見出された肝細胞癌は外科的切除術や超音波誘導下のラジオ波による焼却療法などが一般的である。それ以外に、肝細胞癌の進行度に合わせて塞栓療法や分子標的治療も効果があり、最近では肝移植による治療対象にもなっている。 本講演では肝細胞癌の病態をよく知り、治す方法を考え、そして予防できるのか、解説する。主な研究領域肝炎ウイルスのマネージメント、肝細胞癌の治療、肝移植の適応評価と実践主な著書「肝臓よ、甦れ!」(悠飛社)共著「肝癌 診断と治療」「臨床肝臓病」(日本メディカルセンター)「肝移植診療ガイドブック」(アークメディア)1975年 新潟大学医学部卒業1979年 富山医科薬科大学医学部第三内科・助1984年 Free University of Brussels 細胞生物学教室留学1985年 American Health Foundation、Naylor Danaがん予防研究所留学1987年 新潟大学医学部附属病院(第三内科)講師1991年 Pittsburgh大学外科学教室移植研究所Medical Center留学2002年 新潟大学医学部附属病院臨床試験部副部長(助教授)2004年 順天堂大学医学部附属静岡病院消化器内科教授2011年 順天堂大学医学部附属静岡病院副院長順天堂大学医学部附属静岡病院 副院長消化器内科 教授田 隆肝細胞癌の診療

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