第32回 血液の病気
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第32回メディコピア教育講演シンポジウム血液の病気◆ここまで進んだ診断と治療 アキラユオ湯尾 員4 「白血球」とは、広い意味では全ての「白血球」を意味する用語で、リンパ球も含むが、狭い意味では貪食能を有する好中球を始めとする骨髄球系の血液細胞を意味し、貪食能を有することから「食細胞」とも呼ばれている。具体的には、好中球、好酸球、好塩基球などの顆粒球と、細胞質に顆粒の無い単球・マクロファージが含まれる。これらの白血球は共通の前駆細胞から分化してくるので、造血発生の点からも、白血球は同じ仲間の血液細胞と言える。これらの白血球は、体の中での役割を果たすために、粘着(接着、付着)能、遊走能(走化性)、貪食能、脱顆粒、活性酸素産生能、殺菌能、などの様々の機能を備えている。これらの多彩な機能を駆使しては、生体(宿主)に侵入してくる病原微生物から生体を守っている(生体防御機構、宿主防御機構)。 本日の講演では、このように生体を病原体から守るための戦士として働いている白血球に関して、その生理的な役割や、その機能が欠損した時の状態や機能欠損症に関して分かり易く解説したい。また、昨今話題になっているヒト多能性幹細胞(ヒトES細胞、ヒトiPS細胞)にも言及して、そのような幹細胞からの白血球の作成(分化誘導)などに関して最新の状況などについてご紹介したい。主な研究領域血液細胞の分化と増殖、白血球機能ヒトES細胞やヒトiPS細胞を用いた再生医療主な著書「三輪血液病学 第3版 好中球の異常、白血球機能検査」(文光堂)「看護のための最新医学講座 白血球機能異常症」(中山書店)「血液疾患−state of arts− 好中球機能の診断的意義」(医歯薬出版社)「好中球−機能低下と機能亢進− 好中球の基礎」(医薬ジャーナル社)昭和57年 東京大学医学部医学科卒業  57年 東京大学医学部附属病院内科医員  59年 虎の門病院血液科常勤嘱託医  60年 東京大学医学部附属病院第三内科医平成 元年 国立病院医療センター臨床研究部病態生理研究室研究員(内科併任)8年 国立国際医療センター研究所血液疾患研究部造血障害研究室室長9年 同血液疾患研究部部長16年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科客員教授22年 独立行政法人国立国際医療研究センター研究所疾患制御研究部部長国立国際医療研究センター研究所疾患制御研究部 部長 明白血球─感染防御の要─

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