第32回メディコピア教育講演シンポジウム血液の病気◆ここまで進んだ診断と治療 グラ 悪性リンパ腫の代表的疾患であるホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma: HL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma: DLBCL)およびろ胞性リンパ腫(follicular lymphoma: FL)の治療進歩には著しいものがあり、本日は、これらのリンパ腫に対する最新の治療動向についてお話しする。HLとDLBCLに対しては、大規模ランダム化比較第Ⅲ相試験によって初発例(限局期、進行期)、再発例に対して標準的治療法が確立している。また、FLに対しても複数のランダム化比較第Ⅲ相試験によって初発進行期FLに対する標準治療方針が確立してきている。しかし、さらなる治療改善を目指しての治療研究が進み、ここ1-2年で、HL、DLBCL、FLに対する重要なランダム化比較試験結果が相次いで発表され、新たな標準治療が確立するとともに、新たな課題も指摘されてきている。本セミナーではHL、DLBCL、FLの各疾患群での、最近の注目すべき重要なランダム化比較第Ⅲ相試験の試験成績とその意義を展望すると共に、新たな課題克服のために我が国で開発中の注目すべき新薬についても紹介する。 HLでは、German Hodgkin Lymphoma Study Groupによるランダム化比較第Ⅲ相試験の結果、予後良好初発限局期HLおよび予後不良初発限局期HLに対するおのおのの新たな標準治療が確立した。また、再発・難治HLに対しては、画期的新規抗体薬(brentuximab vedotin)が米国で迅速承認され注目されている。DLBCLでは初発DLBCLに対するR-CHOP療法の治療限界を打破するべく研究された、⑴初発高リスクDLBCLに対するup-frontでのauto-PBSCT併用大量化学、⑵初発DLBCLに対するR-CHOP-14および、再発DLBCLに対する、救援化学療法奏効例に対するauto-PBSCT併用大量化学療法後のrituximab維持療法各試験結果と試験結果がもたらす意義を解説する。また、FLでは、⑴初発進行期FLに対するR-chemo後のrituximab維持療法の有用性、⑵初発進行期FLに対するR-CHOPに対するCHOP後の放射免疫療法の有用性、⑶初発、無症候性低腫瘍量FLに対するrituximab単剤治療介入の有用性を、それぞれ検証したランダム化比較第Ⅲ相試験の各試験成績を解説し、初発FLに対する治療方針を展望するとともに、現在の我が国で開発中の新薬についても紹介する。主な研究領域血液学、血液(造血器)腫瘍学:特に悪性リンパ腫に対する治療学、新薬および新規治療法の開発、臨床腫瘍学主な著書編集責任者「JCOG-LSGリンパ腫・骨髄腫 臨床研究マニュアル」(JCOG)共編「造血器腫瘍取扱い規約」(金原出版)分担執筆「クリニシアン.58巻」(エーザイ)、「血液診療エキスパート 悪性リンパ腫」(中外医学社)、「医学のあゆみ.悪性リンパ腫—Updatde 235巻5号」(医歯薬出版)、「Trends in Hematological Malignancies 2011年2月号」(メディカルレビュー社)、「血液専門医テキスト」(南江堂)など10昭和50年 名古屋大学医学部医学科卒業 厚生連江南昭和病院内科勤務(研修医および内科医) 55年 名古屋大学医学部附属病院非常勤医員および同第一内科研究生 63年 愛知県がんセンター血液化学療法部医長平成 6年 愛知県がんセンター血液化学療法部副部長14年 愛知県がんセンター血液・細胞療法部副部長17年 名古屋第二赤十字病院血液内科部長19年 藤田保健衛生大学医学部客員教授20年 名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長(現職)21年 外来化学療法センター長(兼務)名古屋第二赤十字病院 血液・腫瘍内科 部長ノリ則 美小椋オミチ知 悪性リンパ腫
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