第32回メディコピア教育講演シンポジウム血液の病気◆ここまで進んだ診断と治療クロカワミネ 白血病は血液細胞に遺伝子の変化が生じ、正常のコントロールを外れて無制限に増殖するようになる病気である。病気のタイプにより、急性白血病と慢性白血病があり、それぞれ骨髄性とリンパ性に分かれる。 体の中では骨髄で血液細胞が作られるが、急性白血病では、芽球とよばれる未熟な血液細胞が骨髄で増加するとともに、正常の血液細胞を抑制し、その結果、貧血、感染、出血などさまざまな症状を起こす。急性白血病の多くは抗がん剤による治療で寛解とよばれる良い状態に入るが、その後も何回か治療を重ねることが必要である。治りにくいタイプや再発した例には、造血幹細胞移植で治療する場合がある。 最近では急性白血病の個性や治りやすさを予測する手がかりが増え、治療法の選択に活かされている。たとえば急性前骨髄球性白血病ではレチノイン酸を併用することで治療成績が大変向上した。 慢性骨髄性白血病に対してはイマチニブという分子標的薬が開発され、多くの患者さんが、病気が進むことなく過ごせるようになった。現在ではさらに効果の高い薬剤も登場し、より高い治療効果が期待されている。主な研究領域急性白血病、慢性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、造血幹細胞移植主な著書分担執筆「内科学 第9版」(朝倉書店)「三輪血液病学」(文光堂)「今日の診断指針 第6版」(医学書院)平成 2年 東京大学医学部医学科卒業 7年 東京大学大学院医学系研究科卒業 7年 東京大学医学部附属病院第三内科 9年 日本学術振興会特別研究員 11年 東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科助手 16年 同血液・腫瘍内科講師 17年 東京大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学教授 20年 東京大学医学部附属病院無菌治療部部長(兼任)東京大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 教授 峰黒川オ夫9白血病
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