第31回 腎臓病
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 腎臓病が最も進行すると透析(人工腎臓)が必要になるが、透析患者数は世界的に激増しており、2010年には世界で210万人、日本で30万人に至るとされ、国民の健康と医療経済における重大な問題となっている。さらに、腎臓病の症候であるアルブミン尿・蛋白尿および腎機能低下は、全世界で死因の第一位(約30%)である心血管疾患の原因であることが判明し、2002年に米国でアルブミン尿・蛋白尿や腎機能低下が3ヶ月以上継続する場合は慢性腎臓病(CKD)と診断し、腎濾過量の低下の程度によって病期を分けることが提唱された。その後、日本人のための腎濾過量の推算式を作成し調査した結果、日本のCKD患者は、1,350万人(人口の11.2%)で、先進諸国と同等の高頻度ということが判明した。一方、CKDは高血圧治療やレニンアンジオテンシン系抑制薬の使用などの多くの治療を集約することで、腎機能の改善と心血管疾患の抑制も証明された。また、CKDの原因は多様であるが、糖尿病、高血圧などの生活習慣病が主たる病因であるため、生活習慣病対策と一体となった対策が必要であるといえる。 以上を踏まえて、日本でも腎臓学会を中心に、「CKD診療ガイド」や「CKD診療ガイドライン」などの診療指針を作成し、早期発見・早期治療のための地域医療連携による対策の必要性を訴える啓発活動を展開している。  すなわち、CKDは、世界的に高頻度に存在し、末期腎不全と心血管イベントの原因として健康の脅威であるが、医学的には予防・治療可能で、全世界的な対策が必要な新しい病気の概念である。主な研究領域内科学一般、腎臓内科学、内分泌・代謝学、病態医化学主な著書以下編集日本内科学会雑誌編集委員(2000年−2004年)「糖尿病」(日本糖尿病学会誌)編集委員(2003年−2007)Edrine Journal編集副主任(2004年−)昭和49年 東京大学医学部医学科卒業 東京大学医学部附属病院内科医員(研修医)  51年 茨城県立中央病院内科勤務   52年 東京大学医学部附属病院第一内科医員  55年 京都大学医学部附属病院臨床検査部茨城県技術吏員医員(医化学教室研究生)  57年 東京大学医学部附属病院第一内科文部教官助手  58年 同休職、アメリカ、ミシガン州立大学生化学部に留学  61年 東京大学医学部附属病院第一内科文部教官助手復職  62年 東京大学医学博士(第8492号)取得平成 4年 東京大学医学部第一内科文部教官助教授   9年 福島県立医科大学第三内科(現 腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科)教授ワタナベ渡辺 5 福島県立医科大学医学部 腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科 教授ツヨシ 毅CKD(慢性腎臓病)とは

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