腎臓は、食事により入った物質や体内で作られた老廃物を適切に排泄して、体内の環境を一定に保つために、24時間休まずに働いている。さまざまな原因で腎臓病が起こると、これらの働きがうまくいかなくなるが、腎臓は非常に予備能力のある臓器であるため、かなり進行してしまわないと症状が出てこない(一部の初期にむくみを生ずる病気をのぞく)。しかも、症状が出たとしても、腎臓病が原因だとすぐにはわからないことも多い。したがって、腎臓病を少しでも早く発見することが、何より大切である。 腎臓病を見つけるためには、特に持病のない人は健康診断で尿や血液の簡単な検査を受けることをお勧めする。ほとんどの腎臓の病気では、蛋白など尿の異常が見つかり、最近は血液の検査で腎臓の機能が落ちていることも、軽いうちからすぐわかるようになっている。一方、すでに持病のある人、特に腎臓に関係する糖尿病、高血圧、膠原病などで通院している人は、問題が生じていないか、主治医が常に診てくれているはずである。 過去に腎臓病で治療を受けたことのある人や、少し進んだ状態で見つかった人もがっかりすることはない。そのことで、これまで以上に血圧をきちんと管理し、脱水や腎臓に悪い薬剤を避けることで、進行を少しでも遅らせることができるからである。主な研究領域慢性腎臓病、糖尿病性腎症、水電解質代謝異常、骨ミネラル代謝、尿毒症主な著書「レジデントのための腎疾患診療マニュアル」(医学書院)「透析患者の病態へのアプローチ」(金芳堂)「図解:水電解質テキスト」(文光堂)「EBM透析療法 2010-2011」(中外医学社)「やさしい透析患者のためのリン・カルシウム代謝の自己管理」(医薬ジャーナル社)昭和58年 東京大学医学部医学科卒業 東京厚生年金病院内科、公立昭和病院腎臓内科勤務平成 2年 東京大学医学部附属病院第一内科助 4年 米国バンダービルト大学リサーチフェロー 7年 宮内庁侍従職、侍医 9年 東京逓信病院循環器科(腎臓内科)医師 12年 神戸大学医学部附属病院助教授、代謝機能疾患治療部部長 19年 神戸大学大学院医学研究科内科学講座腎臓内科学分野長、 戦略的独立准教授、腎・血液浄化センター長 21年 東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科専任教授フカガワマサ東海大学医学部 内科学系 腎内分泌代謝内科教授フミ史 雅深川 手 4腎臓病を早く発見するには
元のページ ../index.html#6