今イ井一 3 尿は腎臓で作られ、尿管・膀胱を通って体外に排泄される。尿が一滴一滴作られる場所が糸球体である。糸球体は、細い血管にできた瘤のようなものであり、糸球体に入る血管と出る血管を調節して糸球体に50mmHgの圧力が加わるようになっている。その結果、水と低分子物質が糸球体を通過する。これを「糸球体ろ過量」と呼び、腎機能の指標になっている。糸球体ろ過量(原尿)は1分間に約100mlであり、1日で100ml×1440(分)=144000ml(144L)に相当している。 糸球体でろ過された原尿は、尿細管に達し、近位尿細管から髄質に向かいヘンレループで方向を変え、皮質に向う。その後、遠位尿細管を経て、再度髄質に向かい集合管になる。尿細管では、ろ過された物質の99%が再吸収され、1日の尿量は、わずか1.5L程度になる。 尿細管は水分や塩分の再吸収のほかに、重炭酸イオンも大量に再吸収し、血液の酸性度をpH7.40に調整している。 また、昇圧ホルモン(レニン)を分泌して血圧のコントロールも行う。 さらに、尿細管周囲の細胞が、血液の酸素濃度を感知して造血ホルモン(エリスロポエチン)を産生して貧血をコントロールしている。 すなわち、腎臓には、老廃物の排泄に関わる糸球体ろ過量(腎機能)、尿細管による再吸収・分泌、血液pHの調節、昇圧ホルモンの分泌、造血ホルモンの分泌と、多彩な働きがある。主な研究領域糸球体腎炎の成因解明と治療法の開発全身性アミロイドーシスの治療法の開発主な著書「CAPD実践マニュアル」「臨床指導医ガイド」「臨床決断のエッセンス」(以上、医学書院)「腎疾患を探る」(永井書店)「腎・尿路系 コアカリキュラムテキスト」(文光堂)「酸塩基平衡、水・電解質が好きになる」「輸液ができる。好きになる」(以上、羊土社)昭和52年 秋田大学医学部卒業 虎の門病院初期研修 54年 秋田大学第三内科(助手、講師、助教授) その間テキサス州立大学ヒューストン校に2年間留学平成15年 愛知医科大学腎臓・膠原病内科教授 21年 愛知医科大学腎臓・リウマチ膠原病内科教授イマヒロカズ 愛知医科大学医学部 内科学講座(腎臓・リウマチ膠原病内科)教授 裕腎臓の構造と働き
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