第31回 腎臓病
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ノ野入世 (Prof. Goligorskyに師事) 腎臓がいよいよ悪くなると透析治療を行う。維持血液透析とよばれる治療を行うことが多く、全国では約30万人が治療を受けている。血液透析という治療法を受けている方を、知り合いや親戚の中で聞いたことがある人が増えているのではないだろうか。その理由の一つとして、いわゆる成人病への登竜門であるメタボリックシンドロームの人口が増え、そして私たちにより身近な2型糖尿病が増加してきたことがあげられる。これは、先進諸国のみならず急成長著しいアジアやアフリカ諸国も抱えつつある全世界的な問題で、先進諸国ではむしろ貧困層のほうにリスクがあると考えられ始めている。このような病態では、しばしば循環器系の疾患が合併して二つの臓器が協調的に悪化する病態をみとめる。また、腎臓の機能低下の過程を、老化現象そのものの現れとしても捉えることもできる。 新年を迎えて、世界150万人のデータをもとにした慢性腎臓病の新たなガイドラインも提唱されつつある。本レクチャーでは、以上のような背景を理解すると共に、人生の中で腎不全にならないようにするには、あるいは慢性腎臓病と診断されても進行しないようにするには、どういう点に留意すると良いのか考えていきたい。主な研究領域慢性腎臓病、急性腎障害、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、高血圧症、血液浄化療法など主な著書以下共著「Effects of RGD peptides on the course of acute renal failure : Potential clinical applicability. In Goligorsky MS (ed) : Acute Renal Failure: emerging new concepts and therapeutic strategies.」(Churchill Livingstone, New York, pp 379-399, 1995)「CKDのサイエンス −基礎と臨床−」(南山堂)「アフェレシス療法ポケットマニュアル」(医歯薬出版) など11昭和62年 浜松医科大学附属病院医員研修医  63年 国立伊東温泉病院内科平成元年 東京逓信病院循環器科   2年 公立昭和病院腎臓内科   4年 東京大学医学部第一内科助手 (黒川 清先生に師事)   5年 ニューヨーク州立大学Stony Brook校 ブルックヘブン国立研究所客員研究員   10年 東京大学医学部第一内科(現、腎臓・内分泌内科)助手  16年 東京大学医学部附属病院血液浄化療法部講師、副部長  19年 東京大学医学部附属病院血液浄化療法部准教授、副部長イリエイセイ東京大学医学部附属病院血液浄化療法部 准教授 英慢性腎不全の予防と治療─腎不全にならない生活を中心に─

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