第31回 腎臓病
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馬ババ場ヤ也  食べすぎや脂肪を多く含む食品の摂取、さらには運動不足など、現代人の生活習慣の変化に伴って、糖尿病患者さんはどんどん増加している。その結果、糖尿病の3大合併症の一つである腎臓病(糖尿病性腎症)をおこす患者さんも増え続けており、1998年以降では、透析を始めた慢性腎臓病患者さんのなかで、糖尿病性腎症が第1位を占めるようになった。そのため、糖尿病性腎症を早期に発見し、発症した場合にはすぐに治療を開始することが重要である。 糖尿病性腎症の診断は、尿中のアルブミンという微量の蛋白を測定することで診断が可能である。その時期を見逃すと、尿蛋白が徐々に増加し、腎機能が急速に低下し始め、ついには透析が必要な状態になる。そのため尿のアルブミンを測ることで、自分の腎臓病の将来を占うことができる。 腎症の治療について、血糖値をなるべく正常近くに維持することが、腎症を起こさないために最も重要である。上記のアルブミン尿が認められる時期では、血圧管理の重要性が増してくる。この時期に、血糖コントロールに加えて、アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシン受容体拮抗薬と呼ばれる降圧薬を積極的に使用すことにより、多くの場合、腎症をそれ以上進ませないだけではなく、アルブミン尿が正常になることも期待できる。主な研究領域糖尿病性腎症の診断と治療主な著書編著糖尿病合併症診療の実際−症例から学ぶ治療最前線−(メジカルビュー社)分担執筆「腎不全・透析患者指導ガイド第2版」(日本医事新報社)「膵臓移植 糖尿病根治を目指して」(シュプリンガー・ジャパン)「最新透析医学」(医薬ジャーナル社)10昭和58年 広島大学医学部卒業 平成 7年 カナダ・トロント大学留学  12年 東京女子医科大学糖尿病センター講師東京女子医科大学糖尿病センターゾノテツ東京女子医科大学 糖尿病センター 講師 哲園糖尿病と腎臓病─早期発見・治療が何より大切─

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