第30回 動脈硬化をめぐって
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第30回メディコピア教育講演シンポジウム動脈硬化をめぐって◆予防と治療の新しい展開主な研究領域臨床検査一般、血漿蛋白学、臨床免疫学、遺伝子診療、臨床検査の国際標準化主な著書「血漿蛋白−その基礎と臨床」、「Clinical Aspects of the Plasma Proteins」、「演習臨床病理学」、「臨床検査医学」、「異常値の出るメカニズム」、「遺伝子診療’95」など動脈硬化性疾患と総称される疾患群は、動脈の壁が厚くなったり(肥厚)、硬くなったり(硬化)、内腔が狭くなったり(狭窄)またはまったく塞がってしまう(閉塞)、などによって動脈内の血流が減少して起こる様々な疾患であり、大動脈から中動脈、細動脈のどこにも起こり、あらゆる臓器に見られる。しかし、今回は、臨床的に高頻度に見られる粥状動脈硬化による心臓の冠動脈の病変によって起きる心筋梗塞及び細動脈硬化による脳血管障害を主として取り上げる。とくに粥状動脈硬化に関係の深い脂質異常症と糖尿病についても含めた。これらの疾患の他に、大動脈瘤、足の壊疽を来す疾患、腎細動脈を障害する疾患、などは除いた。いずれの疾患についても、どのような原因で起こるかは解明されていないが、少なくともこれらの疾患がメタボリックシンドロームと密接に関連し、生活習慣病の代表的なものである。一旦動脈硬化になると、根本的に治癒させることは極めて困難であるから、生活習慣に留意し、できるだけ動脈硬化の発症を予防することが最も大切である。動脈硬化性疾患の治療についても、危険因子とされる脂質異常症、高血圧、耐糖能異常(糖尿病など)、喫煙、肥満、過度のストレス、などを改善することは当然であるが、さまざまな外科的装置・器具が開発されている。今回の専門医からの講演内容を参考にし、致命的な状態になる前に、疑わしい症状が見られたら診療所または病院を訪れて、早期発見し、早期治療をして、後遺症を残すことなく健やかに天寿を全うして頂きたい。7昭和30年北海道大学医学部卒業31年米国クアキニ病院インターン33年米国マイアミ大学医学部病理学専攻37年米国形態病理・臨床病理学専門医38年国鉄中央鉄道病院(現・JR東京総合病院)副医長41年日本大学医学部助教授47年同教授49年自治医科大学教授・同附属病院臨床病理部長平成9年同名誉教授・国際臨床病理センター所長17年(財)国際医療技術交流財団理事長自治医科大学名誉教授・国際臨床病理センター所長タダシ忠カワイ河合司会の言葉

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