第30回 動脈硬化をめぐって
7/17

第30回メディコピア教育講演シンポジウム動脈硬化をめぐって◆予防と治療の新しい展開オ夫ダ田タ多東京慈恵会医科大学大学院医学研究科代謝・栄養内科学教授主な研究領域脂質代謝学、動脈硬化、栄養学、総合診療、医学教育、レムナントの同定と代謝、食後高脂血症主な著書「脂質の科学(分担)」、「脂質異常症の人の食事療法(分担)」、「高脂血症診療ガイダンス(分担)」、「チャート内科診断学(分担)」「現代の養生訓(分担)」「動脈硬化予防のための脂質異常症治療ガイド2008年版(分担)」など文字通り「動脈硬化」は血管の壁が固くなることをいう。しかし、その内容は様々である。特に、心筋梗塞や脳血管障害の原因となり、我が国で上位を占める死因と関係が深い「動脈硬化」は「粥状動脈硬化症」と呼ばれるものである。「粥状動脈硬化症」は、動脈壁内膜にコレステロールが蓄積することにより形成され、その発症には脂質異常症、耐糖能異常、高血圧、内臓肥満などが関与している。そして、こうした血管病変は年余を経て次第に増悪・進行し、血管壁が破綻することにより、出血、あるいは閉塞といった急性変化を伴って、「死に至る病」である心筋梗塞や脳血管障害に陥り、われわれの生命予後を規定する。うまい具合に死を免れたとしても、残る人生を後遺症とともに暮らすことになる。こうした疾患の発症には生活習慣が深くかかわっており、その予防と初期治療には食生活の是正、運動の励行などの生活療法の推進が欠かせない。問題は、我が国の「久山町研究」においても示されるように、肥満症、耐糖能異常、脂質代謝異常を呈する症例は我が国においても大変な勢いで増加していることである。このシンポジウムでは、「粥状動脈硬化症」の進展・増悪から私たちを守ることのできる生活様式の在り方を尋ね、その実践を禁煙の励行とともに食事ならびに運動の面から皆様と一緒に考えていきたい。5昭和47年慶應義塾大学医学部卒業60年東京慈恵会医科大学青戸病院内科学講師平成5年同上教室助教授14年東京慈恵会医科大学内科学教授 柏病院総合診療部部長18年同大学院医学研究科代謝栄養内科学教授20年同大学院総合医科学研究センター■附属臨床医学研究所所長(兼任)ノリ紀動脈硬化と生活習慣

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る