第30回 動脈硬化をめぐって
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第30回メディコピア教育講演シンポジウム動脈硬化をめぐって◆予防と治療の新しい展開オ朗日本医科大学内科神経・腎臓・膠原病リウマチ部門教授主な研究領域脳血管障害、脳循環代謝、脳虚血の病態、脳保護療法、虚血性神経細胞傷害のメカニズム主な著書「脳・用心 脳梗塞とボケの予防」、「脳卒中患者さんの退院時必携書」、編集「脳卒中ハンドブック」(以上、ヴァンメディカル)、監修・編集「脳血管障害の臨床」(日本医師会)、分担「内科学 脳血管障害 脳梗塞」(朝倉書店)脳卒中は戦後30年間、我が国の疾患別死因の第1位の座であった。近年、悪性腫瘍、心疾患が増加し第3位となったが、その死亡数は依然として多く、また、その受診者数は年々増加している。脳卒中はひとたび発症すると構音障害、麻痺、記憶・記銘力の低下などの後遺症に苦しむこととなる。そのため脳卒中の治療には予防すなわち危険因子の管理が最も重要であるといえる。脳卒中には、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血の3つのタイプがある。脳卒中の病型別発症割合は、2005年度の脳卒中データバンクの解析によると脳梗塞が78%、脳出血が15.5%、クモ膜下出血が6.5%であり、以前と比べて脳梗塞の割合が大幅に増えている。これは、近年の生活習慣の大きな変化によるものと考えられる。脳卒中の危険因子には、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある。高血圧は、血圧が140/90mmHg以上の場合をそう呼ぶが、血圧が高ければ高いほど脳卒中になりやすいことが示されている。糖尿病は、我が国での久山町研究などで脳卒中になる危険度が2〜3倍に増えることが示されている。脂質異常症は、海外や我が国の研究において脳梗塞の危険因子であることが示されている。本シンポジウムではこれらの危険因子とその対策について述べる予定である。9昭和49年日本医科大学卒業50年日本医科大学第二内科入局57年日本医科大学大学院医学研究科(臨床系内科学専攻)卒業61年米国ペンシルバニア大学脳外科教室へリサーチフェローとして留学日本医科大学第二内科講師平成2年日本医科大学第二内科助教授6年日本医科大学神経内科部長10年日本医科大学第二内科教授(主任)18年日本医科大学内科(神経・腎臓・膠原病リウマチ部門)教授(主任)カタ片ヤマ山ヤス泰脳血管障害の危険因子とその対策

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